12/06/2026
いったん何らかの心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管系疾患の総称)が起きると、その後に認知機能低下や認知症になりやすくなることは以前からよく知られていることです。しかし一つの可能性は、実は、この認知機能低下や認知症が心血管イベントの前から始まっていて、それが隠れていたために、あたかも「心血管イベントが認知機能低下を引き起こした」ように見えていたのかもしれません。
この点について、オーストラリアと米国の地域居住者で65歳以上の高齢者に対して調査が行われました)(https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2847956)。対象者は、研究登録時に心血管疾患の既往歴がなく、高齢者における心血管イベント減少のためにアスピリン無作為化臨床試験およびその拡張観察研究に参加していた人たちです。 致死性冠動脈疾患、非致死性心筋梗塞、致死性または非致死性脳卒中、心不全による入院心血管疾患などのイベントを発症した症例患者が選ばれ、年齢、性別、学歴で心血管イベント(-)の対照群とマッチングされました。
その結果、何らかの心血管イベントを発症した患者は、発症しなかった患者と比べて、イベントの3~8年前から認知機能が低下していたことが示唆されました。 特に、対照群と比較して、心血管イベント発症群ではイベント発症以前から全般的認知機能、エピソード記憶(ex. 個人の思い出)、処理速度、言語流暢性、実行機能などが低下していましたが、記憶はあまり低下していませんでした。
以上、データが若干ソフトなところはありますが、認知機能の低下は実は心血管イベントの発生前に起きていて、この低下がその後の心血管イベントと関連している可能性が示唆されました。