31/07/2026
【豆知識】18F-[SiTATE]と日本におけるSSTR-PETの現状
ABXが開発する18F標識SSTRトレーサー[¹⁸F]SiTATEは、SSTR-PETの運用モデルを拡張する可能性を持つ薬剤の一つです。SSTR-PET(ソマトスタチン受容体PET)は、神経内分泌腫瘍(NET)などで用いられる重要な画像診断法で、腫瘍の受容体発現を可視化し、治療方針決定にも関与します。
一方で日本では、この検査は欧米のように広く標準化された保険診療ではなく、限られた専門施設での運用にとどまっています。 その背景には、68Ga標識ペプチドがジェネレーター依存であることによる供給制約があり、施設ごとの製造・品質管理体制に依存する構造が存在します。このため臨床現場では、「検査そのものの有用性」よりも、「必要な患者に安定して検査を提供できるか」という供給性の問題がボトルネックになります。
18F-[SiTATE]はサイクロトロンによるバッチ生産を前提として設計されており、中央製造と広域供給に適した特性を持ちます。これにより、従来の施設依存型68Ga製剤とは異なる供給モデルが可能になります。SSTR-PETの課題は、画像診断としての性能評価から、医療インフラとしての持続可能性へと焦点が移行しています。その中で18F-[SiTATE]は、既存技術の延長ではなく、供給構造そのものを変える選択肢として位置づけられます。
-PET -SiTATE
図:18F-SiTATEの構造。