10/05/2026
コリアンダー Coriandrum sativum の葉が、やわらかい丸葉から細くなり、背丈も伸びてレースのような葉へ。そして、小さな白い花。この頃になると、香りも少しずつ変わり始めます。
葉の時期には、「デセナール類」や「デカナール」といったアルデヒド類が主体で、あの独特の強い“パクチーらしい香り”を作っています。
ところが、花が終わり、種(コリアンダーシード)がふくらみ始める頃になると、今度はd-リナロール(コリアンドロール)が主成分となり、お菓子作りにも使われるような甘く爽やかな香りに変わります。種子には、葉の時期の3〜4倍ものリナロールが含まれるとされています。
リナロールには、右手と左手のような「鏡合わせの構造(鏡像異性体)」が存在します。
ラベンダーやベルガモット、ネロリに含まれるのは主に「l-リナロール」。こちらは、フローラルで瑞々しく、心を落ち着かせるようなウッディさを伴うのが特長です。
一方、コリアンダーシードに含まれるのは、その対極にある「d-リナロール」。l-体よりもさらに軽やかで、柑橘のような透明感とスパイシーで温かみのある甘さを感じさせます。
コリアンダーは、成長とともに劇的な香りの変化と、分子レベルでの不思議を楽しめる芳香植物です。
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