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今回は肥満について掘り下げてみたいと思います。<概要> 肥満とは、「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」のことをいいます。脂肪組織の蓄積する部位によって、皮下に脂肪のたまりやすい皮下脂肪型肥満と、小腸などの内臓の周囲に脂肪のたまりやすい内臓脂肪型...
25/09/2026

今回は肥満について掘り下げてみたいと思います。
<概要>
 肥満とは、「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」のことをいいます。脂肪組織の蓄積する部位によって、皮下に脂肪のたまりやすい皮下脂肪型肥満と、小腸などの内臓の周囲に脂肪のたまりやすい内臓脂肪型肥満とに分類されます。外見上から、皮下脂肪型肥満は「洋なし型肥満」、内臓脂肪型肥満は「りんご型肥満」ともいわれます。近年、内臓に蓄積する脂肪から、種々の生理活性物質(遊離脂肪酸やTNF-α(ティーエヌエフアルファ)といわれる物質など)が分泌され、炎症を起こすことが明らかとなり、肥満は「程度の弱い、長く続く炎症」として捉えられるようになっています。
また、肥満を起こす原因別に、単純性肥満(単純に脂肪が過多となった状態)と症候性肥満(ホルモン異常など何らかの原因があって脂肪が過多となった状態)とに分けることもできます。いずれの場合にも、肥満は、高血圧、糖代謝異常、脂質代謝異常、高尿酸血症などの代謝障害の基盤となり、虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化性疾患を発症する危険因子となります。2017年国民栄養・健康調査によると20歳以上の日本人の肥満人口は、男性約30.7%、女性約21.9%と推計されています。
<症状>
 若い方で肥満の程度が軽い場合には、症状を訴える方はそれほど多くありませんが、「ちょっと太りぎみ」や「階段を上がるのに体が重いと感じるようになった」などの症状は要注意です。肥満の程度が中等度以上になると、膝痛、腰痛などの筋骨格系の症状や、息切れ、いびき、寝ている間の無呼吸などの呼吸器系の症状が問題となることがあります。健康診断の結果で、血圧が高いことや、血糖値が高いことを指摘されることも少なくありません。これらの症状を呈すると、「肥満症」として対処する必要があります。
<診断>
 肥満は、「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」と定義されます。現在では、科学的な評価に基づく方法として、身長あたりの体格指数(body mass index:BMI)(計算式:BMI=体重(kg)/身長 (m)2)を計算して肥満を判定します。日本肥満学会の基準ではBMI 25以上を肥満と判定しています。BMIと疾病の関連をみると、多数の集団を対象とした分析結果では最も疾病の少ないBMIは約22であり、この値を用いて身長あたりの標準体重を計算します(標準体重(kg)= 身長(m)2×22(kg/m2))。
上述のように、肥満の患者さんの中で、何らかの症状を来す場合、肥満症といいます。厳密には、肥満症とは、「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量(ダイエット)を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱う」と定義されます。肥満に伴う健康障害は多くありますが、日本肥満学会の診断基準では、病態として重要と考えられる11項目の健康障害を掲げています。
また、肥満はその原因で分けると大きく原発性肥満(単純性肥満ともいう)と二次性肥満(症候性肥満ともいう)とに分けられます。原発性肥満は、エネルギー摂取過多(食べ過ぎ)、エネルギー消費不足(運動不足)の結果もたらされ、二次性肥満が除外された場合に診断されます。
<治療>
 肥満に対する治療の原則は減量(ダイエット)です。減量のアプローチの方法は、生活習慣、職業などのため個々の患者さんによって異なりますが、それぞれに合った治療期間と目標体重を設定することが重要です。食事療法、運動療法、行動療法を基本とし、場合により薬物療法も助けとなります。
脂肪は1グラムのエネルギーは約9キロカロリーですが、生体において脂肪組織として存在する場合、その約20%が水分であるため、1キログラムの脂肪分は約7,000キロカロリーと計算されます。したがって、「1キロ減量しましょう」という場合、「約7,000キロカロリーをマイナスバランスにしましょう」ということになります。このエネルギーのバランスがプラスに傾く場合、単純性肥満を来します。一方で、二次性肥満においては、内分泌代謝異常、生まれつきの異常、使用している薬の影響などがその上流に存在し、治療に際してはもととなる原因への対応が重要となります。1キログラムの減量に約7,000キロカロリーの消費を要することを知った上で、治療期間としては3か月を一区切りとします。
生活習慣の改善を目指す際に、食事療法は、体重を減らし脂肪組織量を減らす肥満症治療の基本となります。摂取エネルギーと栄養、時間の正しいバランスを心がけ、続けることのできる食事療法が重要です。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を主体とする運動療法は、内臓脂肪を減少させますが、患者さんによっては筋力トレーニング(筋トレ)も有用です。厚生労働省による「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」には具体的な方法が述べられています。
行動療法は患者さん自身の意識を高め、やる気を起こさせ、継続させる上で必須な治療法です。具体的には、体重測定、食事の献立の記録、歩数計(万歩計)カウントの記録をつけるなどセルフモニタリングを実施します。
高度の肥満である肥満4度(BMI≧40)の患者さんや、重篤な健康障害を合わせもつ肥満3度(BMI≧35)の患者さんでは、外科的治療をも検討します。摂食量を抑制する目的で胃の中に一定期間ゴムボール大のバルーンを留置する胃内バルーン留置術や胃縫縮術などが行われることがあります。
<生活上の注意>
肥満から来る種々の病態を予防するために、まずご自身の状態を知ってください。対象となる健康診断や検診を受診してください。また、上記の治療に示すように生活習慣の改善、具体的には、「腹八分目」や「よく噛むこと」、「20分以上かけて食事すること」、「身体活動量を増やすこと」に努めてください。さらに規則的な生活、充分な睡眠、喫煙者は禁煙をお心がけください。

<概要> メタボリック症候群(またはメタボリックシンドローム)とは、生活習慣病といわれる肥満症、高血圧症、耐糖能障害(たいとうのうしょうがい:食後に吸収されて血管内に入った糖が利用されずに血管内に留まる状態)、脂質異常症などの危険因子が、1...
13/09/2026

<概要>
 メタボリック症候群(またはメタボリックシンドローム)とは、生活習慣病といわれる肥満症、高血圧症、耐糖能障害(たいとうのうしょうがい:食後に吸収されて血管内に入った糖が利用されずに血管内に留まる状態)、脂質異常症などの危険因子が、1人の患者さんに集積する状態のことをいいます。これら危険因子が集積すると、虚血性心疾患(心臓に栄養を送る血管が細くなったり、詰まったりすることで心臓に十分に血流が行き渡らない状態)や脳血管障害(脳に栄養を送る血管が細くなったり、詰まったりすることで脳に十分に血流が行き渡らない状態)などの動脈硬化性疾患を発症します。我が国では、動脈硬化性疾患による死因は約30%以上にものぼると推測されています。このために、患者さん一人一人の状態をより早期に知る必要があり、日本では2005年にその定義、診断基準が明確にされ、一般に認知されています。メタボリック症候群では、肥満、特に内臓脂肪蓄積型肥満が病態の上流にあり、遺伝的背景(体質)に環境因子が加わり、各危険因子が経時的に連鎖することで動脈硬化性疾患を発症します。それぞれの危険因子の経時的な連鎖をドミノ倒しに見立てたものが「メタボリックドミノ」の図として表されます。とりわけ、メタボリック症候群の予防のためには、食事・運動療法を含めた生活習慣の改善が重要です。
<症状>
 メタボリック症候群の患者さんは、「メタボリックドミノ」の図で上流から中流にかけての多くの場合、ほとんど症状がありません。「飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動不足」などの生活習慣の乱れは、過体重(かたいじゅう)、肥満を来します。肥満は、皮下に脂肪のたまりやすい皮下脂肪型肥満と、小腸などの内臓の周囲に脂肪のたまりやすい内臓脂肪型肥満とに分類されます。外見上から、皮下脂肪型肥満は「洋なし型肥満」、内臓脂肪型肥満は「りんご型肥満」ともいわれます。このうち、メタボリック症候群の危険度が増すのは「りんご型」体型の内臓脂肪型肥満です。内臓脂肪型肥満ではインスリンという血糖を下げるホルモンの効きが悪くなり、この状態を「インスリン抵抗性」といいます。この「インスリン抵抗性」が、ホルモンのバランスや血管の状態を悪化させることが示されています。こうした観点から、メタボリック症候群の症状として、「ズボンのベルトがきつくなった」、「洋服屋さんでウェストを測ってもらったら90cmといわれた」といった腹囲、ウェストの増大を示す症状は重要です。この内臓脂肪肥満に加えて、高血圧症、耐糖能障害、脂質異常症のうち2項目を満たす場合にメタボリック症候群と診断されますが、上述のように、メタボリック症候群と診断された時点で症状のある患者さんはほとんどいません。この時点で、「症状がないから」と生活習慣を見直さないと、「メタボリックドミノ」の下流に進み、様々な症状をひき起こしてしまいます。網膜症による失明、腎症による血液透析、神経障害による下肢切断は、糖尿病の3大合併症です。狭心症、心筋梗塞は「胸痛」を起こし、脳血管障害は、「頭痛」「麻痺」などの症状を来します。メタボリック症候群は、これらの症状を来す前に、患者さん自身に生活習慣を見直し、改善していただくことを目的に確立された概念なのです。
<診断>
 重要なことは、患者さんに「ご自身の状態を知ってもらう」ことです。健康診断のお知らせが来たら、ぜひ受診しましょう。「悪いところはないから」とか、「病院にかかっているから」といって無視してはいけません。もし、あなたが通院していてその病気に対する診療は施されても、全身のチェックを受けているとは限りません。ぜひ、健康診断やがん検診などをご活用ください。メタボリック症候群については、我が国において日本内科学会が中心となって作成した診断基準があります(表1)。これは上述のように、ウェスト周囲長を計測し、男性であれば85cm以上、女性であれば90cm以上の場合に、空腹時の血液検査で、1) 中性脂肪(トリグリセライド)値が150mg/dL以上または善玉コレステロールであるHDL-コレステロール値が40mg/dL未満、2) 収縮期血圧130mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上、3) 空腹時血糖値110mg/dL以上、の3項目のうち2つ以上を満たす場合に、メタボリック症候群と診断されます。このほかでも、例えば、糖尿病で血糖を下げる薬を飲んでいる方は、耐糖能障害として3項目のうちの1つに含めます。
<治療>
 メタボリック症候群の治療は、「メタボリックドミノ」のドミノ倒しの駒が倒れるのを止めることと同じであり、初期の段階から積極的に介入し、メタボリック症候群の進行を止める必要があります。最上流では、個々の症例の生活習慣や体型に応じた適正体重、目標体重を設定し、生活習慣の是正、食事、運動療法を指導します。具体的には、1kg減量するために約7,000kcalのエネルギーのマイナスバランスが必要であることを念頭に、目標体重までの必要エネルギー量を計算し、1日のエネルギーバランスと照らし合わせます。例えば、茶わん1杯分(約150~200kcalと計算する)のご飯相当を1日の食事量から減らせば、約1~1.5か月で約1kgの減量につながります。また、運動療法は有酸素運動、いわゆるウォーキングやジョギングなどが望ましいとされています。平均約200~250kcalの消費エネルギーと計算される1日に8千~1万歩のウォーキングを約1か月実施することで、約1kgの減量を達成できます。また、「駅では階段を利用する」、「テレビのリモコンは使わない」といったわずかな工夫で身体活動量を高めることも消費エネルギー増大に重要です。
<生活上の注意>
 メタボリック症候群から種々の病態を予防するために、まずご自身の状態を知ってください。対象となる健康診断や検診を受診してください。また、上記の治療に示すように生活習慣の改善、具体的には、「腹八分目」や「よく噛むこと」、「身体活動量を増やすこと」に努めてください。さらに規則的な生活、充分な睡眠、喫煙者は禁煙を心がけてください。

今回は腎臓病の中でも比較的稀ではありますが、治療方法も確立しつつある遺伝性疾患のファブリー病を紹介します。<概要> ファブリー病(Anderson-Fabry病)は、ライソソーム(lysosome)蓄積障害のうちで最も発症する頻度が高い疾患...
09/08/2026

今回は腎臓病の中でも比較的稀ではありますが、治療方法も確立しつつある遺伝性疾患のファブリー病を紹介します。
<概要>
 ファブリー病(Anderson-Fabry病)は、ライソソーム(lysosome)蓄積障害のうちで最も発症する頻度が高い疾患です。男性8,454~117,000人に1人の割合で発症するといわれています。ライソソームは細胞内にあり、様々な物質の分解を行っていますが、スフィンゴ糖脂質の代謝に必要な酵素であるαガラクトシダーゼA(alpha-Gal A:GLA gene)という酵素が活性低下もしくは欠損しているためにスフィンゴ糖脂質が代謝されず、糖脂質であるGb3(GL-3, globotriaosylceramideグロボトリアオシルセラミド)が蓄積してしまうことにより、様々な症状が現れる疾患です。このαガラクトシダーゼAという酵素の遺伝子[GLA]が、X染色体(Xq22.1)にあり、この遺伝子の変異により発症することから、X染色体遺伝の形式をとります。女性の場合はX染色体が2本あるため、ヘテロの遺伝子変異(X染色体の片方のみの変異)を保持することになりますが、無症状の場合がある一方で、男性と同様の症状が現れる場合もあるなど、その症状は人によって様々です。
<症状>
 GLA遺伝子の変異によって糖脂質であるGb3が蓄積し、細胞毒性や炎症・線維化がひきおこされることにより様々な症状が現れます。典型的な症状は、幼児期や学童期に鋭い手足の痛み、汗をかかない、おしりや陰部の赤紫色の発疹、頻回の腹痛や下痢などです。特に手足の痛みは、ストレス、高温や疲労によってひきおこされます。さらに治療をしないままで青年期や中年期になると、腎症状(蛋白尿、腎不全)、心症状(心肥大、不整脈)、脳の症状(脳梗塞、脳出血)が出現し、年齢とともに症状が重症化します。一方、発症が遅いタイプ(late-onset variant)も存在します。このタイプでは、酵素活性がある程度残っているために、糖脂質が蓄積するスピードが典型的なタイプよりも抑えられますが、原因不明の左心肥大や心不全、不整脈、あるいは尿蛋白や腎機能低下、脳卒中などがきっかけとなり、成人になってから初めて診断されます。症状が腎臓に限られる腎ファブリー病(Renal variant)も存在し、原因不明の慢性腎臓病の場合には、この疾患の可能性もあります。日本人の疫学研究では、維持透析患者さん514人を調べたところ、6人(つまり1.2%)にαガラクトシダーゼA酵素活性低下や遺伝子変異が認められたと報告されています(Kidney Int 2003)。また腎ファブリー病の場合にも、後になって心肥大など他の症状が出てくる可能性があります。
<診断>
これまで述べたような症状、家族歴が認められた場合、特に男性の場合には、αガラクトシダーゼA活性を測定することで診断が可能です。活性が低下している場合には、遺伝子検査によりGLA遺伝子の変異を証明できれば診断はより確実になります。女性の場合には、酵素活性が様々な値を示すため、遺伝子検査による診断となります。もしも既知の遺伝子変異が同定されなかった場合に、腎生検などの組織生検を行い、糖脂質の蓄積が認められるかを調べることもあります。
<治療>
ファブリー病の治療には、酵素補充療法、シャペロン療法、それぞれの症状に対応した対症療法があります。
・アガルシダーゼアルファ(リプレガル®点滴静注用)2週間に1回
・アガルシダーゼベータ(ファブラザイム®点滴静注用)2週間に1回
 また、αガラクトシダーゼA蛋白の折り畳みの異常により、ライソソームまで届けられる前に分解されてしまうタイプの場合には、この折り畳みの異常を是正する内服薬(シャペロン療法)の効果が期待できます。この薬剤は2018年に承認されました。
・ミガーラスタット(ガラフォルドカプセル®123mg)隔日経口内服

今回は稀な疾患ですが小児の泌尿器の病気をご説明します。小児の泌尿器科疾患には以下のようなものがあり、先天性(生まれつきの)疾患が多いのが特徴です。近年、このような先天性疾患は超音波検査など診断技術の進歩や普及によって乳児期、新生児期、そして...
16/07/2026

今回は稀な疾患ですが小児の泌尿器の病気をご説明します。
小児の泌尿器科疾患には以下のようなものがあり、先天性(生まれつきの)疾患が多いのが特徴です。近年、このような先天性疾患は超音波検査など診断技術の進歩や普及によって乳児期、新生児期、そして胎児期にと、より早期に発見されるようになっています。そしてこの中には、成長に伴い自然治癒する疾患が比較的多いことも分かってきました。また、手術が必要な場合でも疾患によっては内視鏡を利用した低侵襲(負担の少ない)な治療が小児においても可能となっています。
小児泌尿器科疾患
• 上部尿路疾患
水腎症、膀胱尿管逆流、腎腫瘍(ウィルムス腫瘍など)、多嚢胞性異形成腎、腎結石、巨大尿管症、重複腎盂尿管、異所開口尿管、尿管瘤
• 下部尿路疾患
尿道下裂、夜尿症、神経因性膀胱、後部尿道弁、総排泄腔奇形、総排泄腔外反症、膀胱外反症、膀胱腫瘍、過活動膀胱、尿道上裂、前部尿道弁、尿道脱、尿道外傷
• 生殖器疾患
停留精巣、移動性精巣、精巣腫瘍、精索静脈瘤、精巣捻転症、二分陰嚢、埋没陰茎、陰茎腹面屈曲、陰茎回転症、包茎、性分化疾患(先天性副腎皮質過形成、混合性性腺異形成など)
• 小児腎移植
<代表的な疾患>
(1) 閉塞性尿路疾患:先天性水腎症、巨大尿管症、後部尿道弁
尿が産生され体外に排出されるまでにかかわる尿路:腎臓、尿管、膀胱、尿道に狭い部位を伴う病態を閉塞性尿路疾患といいます。小児における狭窄病変の好発部位は腎盂尿管移行部、尿管膀胱移行部、後部尿道(尿道の膀胱に近い部位)で、それぞれ先天性水腎症、巨大尿管症、後部尿道弁と呼びます。いずれも尿路感染症や腎障害の原因となります。特に、後部尿道弁は1か所の病変で両側腎と膀胱にも影響を与えるため、発見時にはすでに腎不全となっていることもあり早急な治療が必要となります。一方、先天性水腎症や巨大尿管症は腎機能が正常で成長に伴い自然治癒するお子さんがいることも分かってきました。そのため定期的に検査を行い、もし腎障害の徴候が出てきた場合、または腹痛などの症状が出た場合にその時点で手術をする、という方針が一般的となっています。
(2) 膀胱尿管逆流
一旦尿管から膀胱へとたどり着いた尿は、通常は決して尿管・腎盂へ逆流することはありません。様々な原因で膀胱内の尿が尿管・腎盂へ逆流する現象を膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux:VUR)といいます。VURがあると腎盂腎炎という最も重篤な尿路感染症を発症する危険性が高くなり、腎盂腎炎を繰り返すと腎障害を引き起こします。多くは先天的な尿管膀胱移行部の構造の異常(原発性VUR)によりますが、尿道の閉塞疾患により排尿時に膀胱内が高圧状態となるような場合にも生じます(続発性VUR)。まず、膀胱・尿道造影検査とアイソトープ検査で逆流症の原因、程度、腎障害の有無をしっかり把握することが重要です。続発性VURに関しては、まず高圧膀胱となる原因を解除するよう治療を行います。原発性VURの場合は、成長に伴い自然治癒することがあるため、尿路感染症の予防をしつつ定期的に検査して経過観察を行います。すでに重篤な腎障害が存在したり、尿路感染症を繰り返したり、自然治癒が認められない場合には手術が必要となります。手術は、逆流しないように膀胱と尿管を縫い変える手術が一般的ですが、最近では膀胱鏡を使って尿管膀胱移行部にDeflux®(デフラックス)という膨隆剤を注入する治療も行われるようになっています。
(3) 停留精巣
男児の精巣は胎生期にお腹の中に発生します。精巣は出生するまでに下腹部、鼠径部(そけいぶ:足の付け根)を通って陰嚢内に下降してきます。出生時に精巣が陰嚢内へ下降していない状態を停留精巣といい、男児の約3%にみられます。出生6か月までは自然下降が期待できる一方、そのまま長く放置してしまうと将来の不妊症、悪性腫瘍の発生などの問題が生じます。現在では自然下降がなければ生後6か月から1歳前後に鼠径部を切開して精巣を陰嚢内に固定する手術を行うのが一般的です。精巣がまだお腹の中の深い場所に留まっているようなタイプのお子さんには腹腔鏡を用いた手術が行われます。
(4) 神経因性膀胱
二分脊椎症など脊髄の神経障害により膀胱の機能障害をきたす疾患です。「排尿できない」、「尿が漏れやすい」などの症状だけでなく、膀胱内が高圧状態となって両側の腎障害や重篤な尿路感染症を引き起こすことが一番の問題です。まず、尿検査、膀胱造影検査、腹部超音波検査、膀胱機能検査などにより病状をよく把握することが重要です。病状に合わせて膀胱の伸展性を改善させる(膀胱をやわらかくして膀胱内の圧力を下げる)薬物療法、定期的な自己導尿(1日数回、尿道から細いチューブを入れて尿を出す方法)、膀胱拡大術(腸の一部を利用して膀胱を大きくやわらかくする手術)や尿禁制手術(膀胱の出口の抵抗を高め、尿を漏れづらくする手術)などが行われます。
(5) 尿道下裂
尿道下裂は、尿道口(尿の出口)が亀頭の先端ではなく陰茎の根元の方への位置異常を伴う状態です。通常、包皮の分布異常と陰茎の屈曲もみられます。尿が下方向へ出てしまうため立位排尿が困難となり、勃起時の陰茎屈曲により将来の性交渉の障害が生じます。これは自然治癒が見込めないため生後6か月から1.5歳頃に手術が必要となります。手術は、陰茎本体と包皮を一度しっかり分離してまず陰茎の屈曲を解消します。その後、余裕のある包皮部分を利用して不足している尿道を形成し、尿道口を亀頭部に作ります。施設によっては手術を2回に分けて行っているようですが、当院では1回での治癒を目指します。まだ難易度の高い手術で、尿道が狭くなったり、尿道の途中と皮膚に交通ができたり、後に追加手術が必要となることもあります。
(6) 性分化疾患
先天的な副腎皮質ホルモンの合成障害や染色体異常に伴って外性器や内性器が未熟な疾患です。ホルモンのバランスを整えるための内分泌療法だけではなく、外性器の形成手術が必要となることがあります。男児としての外性器の形成手術はほぼ尿道下裂の手術に準じます。女児の形成手術は肥大化した陰核を短縮化し、膣の形成が行われます。最近ではtotal (partial) urogenital mobilization法という手術法が開発され、手術後の膀胱機能障害や膣狭窄(膣が狭くなること)などの合併症が少なくなりました。当院でも良好な治療成績が得られています。
(7) 夜尿症
なかなか”おねしょ”が治らないお子さんも珍しくはありません。夜尿症は毎年15%のお子さんが自然治癒するとされていますが、学童期になると宿泊行事などが始まり社会的な問題を生じることがあります。8歳以降は積極的な治療対象で、夜間に濡れると鳴るアラームを装着するアラーム療法や夜間の尿量を減少させる薬物療法などが行われています。通常の夜尿症とは異なる、膀胱や尿道の疾患が潜在していることがあり、これらをしっかり診断することも重要です。その他、小児では比較的まれですが腎、尿路、精巣の悪性腫瘍に対する治療や小児腎不全に対する腎移植治療も小児泌尿器科で担当します。特に、小児期の腎不全治療としては身体的、社会的成長のうえでも腎移植は現在の医療では最も適した治療です。

16/07/2026

梅雨が明け、今年の夏も想像を上回る暑さになりそうです💦
暑さのあまり、身体を冷やし過ぎていませんか?この時期は、「夏の冷え性」に気を付けましょう。
夏の冷え性とは、夏場でも体が冷えて手や足先、上腕部など体の一部分が温まらず冷えているような感覚が常に自覚される状態のことを言います。
特に、冷房の効いた室内と暑い屋外の温度差や、冷たい飲食物の摂取によって、自律神経の乱れや血行不良が起こりやすいため、注意が必要です。

*夏冷え性の症状
どこでも冷房が効いている現代では冬よりも夏のほうが冷えやすいかもしれません。長時間、冷房の効いた部屋で薄着で過ごし、冷たい飲み物などをとっていると、内臓まで冷えてしまいます。内臓冷えにより消化機能が低下することで、胃もたれ、下痢、便秘といった症状が現れたりすることがあります。
また体が冷えると、夏の暑さに対応するためにいっそうエネルギーを消耗します。その結果、食欲が低下し、さらなるエネルギー不足に。すると頭痛やめまい、倦怠感や疲労感といった夏バテの症状が引き起こされるのです。

*夏の冷え性原因*
①冷房の効きすぎ
夏の冷え性の原因の1つが冷房です。薄着でクーラーが効いた場所で長時間過ごし、さらに冷たい飲み物などをとっていると、体の表面だけでなく、内臓まで冷えてしまいます。
また室内外の気温差が5℃以上になると、自律神経が乱れやすくなります。
温暖化やヒートアイランド現象で夏の外気温は上昇。駐車していた車の中やコンクリートの路上は40℃を軽く超えるので、冷房の効いた屋内との温度差は20℃くらいあることになります。

②冷たい飲食物のとりすぎ
冷たいものを食べたり飲んだりすると胃腸が冷えてしまいます。冷蔵庫から出してすぐの食品は1~4℃、自販機の飲み物は1~6℃程度のため、場合によっては冬より冷えてしまうこともあります。
摂取した飲み物の温度で、胃の動きがどう変わるか調べた研究(脇坂ら、日本栄養・食糧学会誌、2011年)では、15℃の冷水で胃の動きが低下したとあります。これは15℃の冷水を体温と同じ37℃前後になるまで胃の中にとどめるために、胃の動きが低下したからだと解釈されています。

③栄養不足、食生活の乱れ
夏バテで食欲が落ちると、熱産生に必要な栄養が十分にとれないことがあります。また食欲不振の状態のまま日々のストレスや疲れで自律神経が乱れると、血の巡りが悪くなって冷え性が悪化するという悪循環にも陥ってしまいます。

*夏冷え性の改善、対処法
⚫️食事法
対策1:食べ物・飲み物の温度に気を配る
冷えが気になるときはなるべく常温、もしくは温かいものを意識してとりましょう。どうしても冷たいものをとりたいときは、その前後に温かいものを飲むといいでしょう。

対策2:薬味やスパイスを活用する
胃腸の冷えを感じる人には、お腹を温め胃腸機能を高める薬膳食材もおすすめです。とうがらし、山椒、こしょうなどの辛味や、フェンネル、クローブ、ナツメグ、シナモンなどのスパイス、にんにく、生姜、玉ねぎ、ニラ、紫蘇、香菜、バジルなどの香味野菜がそれに当たります。
料理が億劫な場合は、レトルトのカレーやパスタソースを温めるときにこれらの食材を加えたり、香菜やバジルをトッピングしたりすれば手軽にとれます。

対策3:体を温める食材を積極的にとる
・野菜-ねぎ、にんじん、かぼちゃ、かぶ、にんにく、にら、しょうが など
・穀類-豆:玄米、もち米、あずき など
・飲み物-酒:紅茶、日本酒、赤ワイン など
・調味料-海藻類:味噌、醤油、こしょう、唐辛子、山椒、シナモン など

対策4:栄養バランスを意識する
ダイエットなどで栄養バランスの偏った食生活をしていると熱を作るエネルギー源が不足します。また糖質制限のために炭水化物を極端にとらないでいると、腸内環境が悪化。腸の機能が衰えると全身に血液が巡らなくなり、冷え性を引き起こします。
とはいえ食べ過ぎも×。消化・吸収を活発にするために胃腸に血流が集中し、やはり全身に血液が行き届かなくなってしまうからです。1日3食、栄養バランスを意識した食事をとることが大切です。

⚫️ 生活習慣編
対策1:ぬるめのお湯で、体を芯から温めよう
自律神経の副交感神経が優位になると血流がよくなります。体温よりも4℃程度温かい湯に浸かると快適さを感じて副交感神経のスイッチが入るので、湯温は38~40℃がベスト。10分以上を目安に温まりましょう。

対策2:炭酸入浴剤で血流を促し全身ポカポカに
温浴効果をアップさせるのにおすすめなのが入浴剤です。なかでも炭酸入浴剤はお湯に溶け込むと血管の筋肉に働きかけ、血管を広げて血行を促してくれます。湯に入ることで温まった血液が全身にスムーズに行き渡るため、効率よく体を温めることができます。

対策3:冷房をキンキンに効かせるのはやめる
夏に長時間肌寒い部屋にいると本来の体温調節機能を乱すことにもなります。冷房の設定温度は28℃程度が目安です。

対策4:適度に運動する
運動不足になると筋力が低下します。少なくとも週に1日は30分程度のウォーキングやジョギングを行うといいでしょう。もしくは日常生活の中で体を動かすのもおすすめ。階段を使う、大股で早歩きをする、家事で体を動かしたりするなど、工夫してみてください。特におしりや太ももなど大きな筋肉のある下半身を鍛えると効率的です。

この夏の暑さと上手に付き合い、身体の負担軽減をはかっていきましょう😊

今回は小児の腎臓の病気について説明します。(概要) お子さんの腎臓の病気で最も多いのは血尿、たんぱく尿です。これらは原因がなく、心配がいらないことが多いのですが、中には糸球体腎炎、ネフローゼ症候群の場合があります。そのほかにお子さんの腎臓の...
21/06/2026

今回は小児の腎臓の病気について説明します。
(概要)
 お子さんの腎臓の病気で最も多いのは血尿、たんぱく尿です。これらは原因がなく、心配がいらないことが多いのですが、中には糸球体腎炎、ネフローゼ症候群の場合があります。そのほかにお子さんの腎臓の病気でよくみられるものに、尿路感染症(腎盂腎炎、膀胱炎など)があります。お子さん、特に赤ちゃんの尿路感染症には腎臓や尿の流れる通り道の生まれつきの異常(水腎症、膀胱尿管逆流など)がみられることがあります。そのほか多くみられる病気に夜尿症があります。
<血尿、たんぱく尿>
 尿に血(赤血球)、たんぱくが混じっている状態を、それぞれ血尿、たんぱく尿と呼びます。目で見て赤い、泡立つなどの異常で気づく場合もありますが、特に症状がなく、健診や学校検尿などで指摘される場合がほとんどです。原因となる病気がなく、経過をみるだけでよいものから、詳しい検査、治療が必要なものまで様々です。尿、血液、超音波などの検査や、必要な場合は腎生検という検査を行い、血尿、たんぱく尿の原因を調べます。血尿とたんぱく尿の両方がみられる場合、糸球体腎炎の可能性が高くなります。
<血尿>
 腎臓から尿管、膀胱、尿の出口までの通り道のどこかで赤血球が尿に混じると血尿になります赤または褐色(コーラ、紅茶色)の尿が出ます。目で見て分かる血尿であっても、混入している血液はわずかなので貧血になる心配はありません。原因として多いのは尿路感染症、急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎のあるもの(IgA腎症、家族性腎炎など)、尿路結石です。水分摂取が少ないと尿が濃く茶色くなり、血尿と間違えることがありますが、検査をすれば分かります。
<目では分からない血尿>
 検尿で見つかります。血液検査、超音波検査を行いますが、血尿のみであればほとんどの場合は心配ありません。ただし、慢性糸球体腎炎の初期症状の可能性もあるため、たんぱく尿を伴ってこないか、時々、尿検査を行って経過をみます。
<たんぱく尿>
 尿にたんぱくがどの程度漏れ出ているかは試験紙によって分かります(冒頭の図)。- (出ていない)、± (ほとんど出ていない)、+ (少し出ている)、++ (中等度出ている)、+++ (たくさん出ている)。しかしこの方法は尿の濃さに左右されます。尿の濃さの影響を除いて正確に判定するには、尿中のたんぱくの濃度(mg/dl)を尿中のクレアチニンという標準物質の濃度(mg/dl)に対する比で表した、尿たんぱく/クレアチニン比が用いられます。クレアチニンが筋肉から作られ、尿に毎日同じ量が排泄されることを利用しています。尿たんぱく/クレアチニン比0.15以上が異常です。たんぱく尿が持続していて量が多い場合、血尿を伴っている場合、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎の可能性があります。
<一過性たんぱく尿>
 検尿で尿たんぱく陽性と判定されても調べ直すと多くの場合は陰性(正常)です。これを一過性たんぱく尿といいます。発熱、激しい運動、脱水などにより生じます。詳しい検査、治療の必要はありません。
<起立性たんぱく尿>
 寝ている時にはたんぱく尿が出ず、起きている時にたんぱく尿がある状態を起立性たんぱく尿(体位性たんぱく尿)と呼びます。学齢期、思春期のお子さんの持続するたんぱく尿の最も多い原因は起立性たんぱく尿です。朝起きて歩きまわる前の尿のたんぱくが陰性であれば、起立性たんぱく尿と診断されます。治療の必要はありません。
<急性糸球体腎炎>
 溶連菌感染の1~2週間後に尿量の減少、血尿、たんぱく尿、むくみ、高血圧が起こる病気です。5~12歳のお子さんに多くみられます。溶連菌感染は発熱、のどの痛み、首のリンパ腺のはれが特徴的で、皮膚に赤いぶつぶつ(発疹)が出ることもあります。のどの検査で溶連菌感染と診断されます。抗菌薬を10日間飲みますが、その後の検尿でのみ血尿が分かる軽い場合もあります。症状が強い場合は入院して食事の塩分を制限し、尿を出す薬(利尿薬)、血圧を下げる薬(降圧薬)を使うことがあります。症状は2~3週間で良くなり、血尿は6か月から1年でなくなることがほとんどです。
<ネフローゼ症候群>
 腎臓から尿にたんぱくが大量に漏れ出るため、血管内のたんぱくが減り、むくみが生じる病気です。血管内のたんぱくは、水分を血管内に保つ働きがあるので、血管内のたんぱくが少なくなると、水分が血管から体の組織に漏れ出てむくみが生じます。むくみが胃腸に生じると、嘔吐、下痢を引き起こします。肝臓がたんぱくを作ろうとがんばるため、脂肪も一緒に作られ高脂血症(血液のコレステロールや中性脂肪が高い状態)になります。2~5歳のお子さんに多くみられます。治療には副腎皮質ステロイドホルモン薬を内服します。むくみがある時は塩分を制限します。成人と違い、ネフローゼ症候群のお子さんの多くはステロイドホルモンに反応します。小児に多い微小変化というタイプでは治療開始後1~2週間で尿たんぱくが消失することが多く、それに伴いむくみも改善します。この状態を寛解(かんかい)と呼びます。しかし、ネフローゼ症候群のお子さんの3分の2は少なくとも1回は再発し、何回も再発を繰り返すこともあります(頻回再発型ネフローゼ症候群)。このような場合はステロイドホルモンの副作用を防ぐため免疫抑制薬を使用することがあります。また、ステロイドホルモンが効かない場合は微小変化以外の可能性があるため腎生検という検査を行います。治療には免疫抑制薬を併用します。ネフローゼ症候群のお子さんは寛解中(尿たんぱくが出ていない時)も家で時々尿たんぱくをチェックすることが大事です(特に熱が出たり具合が悪い時)。朝一番の尿で++以上が3日間以上続く場合は再発の可能性がありますので、受診する必要があります。風邪が再発の引き金になることがあるので、帰宅時の手洗い、うがいなどの感染予防が大切です。寛解中は塩分制限、運動制限の必要はありません。
<尿路感染症>
 腎盂腎炎、膀胱炎を尿路感染症といいます。尿の通り道すなわち、腎臓、膀胱に細菌が感染する病気です。幼児期以降のお子さんでは、排尿時の痛み、頻回にトイレに行くなどの特徴的な症状がみられることが多いのですが、赤ちゃんでは発熱、嘔吐、不機嫌、食欲低下などの特徴のない症状しかみられません。検尿で尿に白血球がみられれば尿路感染の疑いが強くなります。尿の細菌を調べる検査(尿培養)により診断されます。皮膚などの細菌が尿に混じらないように採る必要があるため、小さいお子さんでは膀胱に管(カテーテル)を入れて採ることが一般的です。白血球のみでなく血尿、たんぱく尿がみられることもあります。抗菌薬による治療が必要で、症状が重ければ入院が必要です。腎盂腎炎では腎臓に傷が残り、繰り返すと腎臓の働きが悪くなることがありますので、きちんと診断し治療することが大切です。小児の尿路感染症では以下の先天性腎尿路異常(膀胱尿管逆流など)を伴うことが多いのでその検査も必要です。
<水腎症>
 水腎症は腎盂(じんう)が、ふくらんだ状態のことをいいます。腎盂は腎臓の中の尿が集まってきて尿管につながる部分です。上記の尿路感染症にかかった時の超音波検査、または妊娠中の胎児超音波検査でみつかることがほとんどです。水腎症は下記の膀胱尿管逆流、または尿の通り道に狭窄(狭い部分)がある場合に生じます。膀胱尿管逆流があるかどうかは、排尿時膀胱造影(膀胱に管で造影剤というレントゲンで写る液体を入れ、排尿していただく検査)により分かります。狭窄の有無は、レノグラムという、放射性物質であるアイソトープを用いた検査で評価します。血管内に注射されたアイソトープが腎臓から排泄される様子をみるものです。どこが狭くなっているかをみるため、腎盂造影、CT、MRIを行うこともあります。水腎症の程度が強く、腎臓に障害を及ぼす場合には手術が必要なことがあります。また、中等度の水腎症では、尿路感染症の予防のために少量の抗菌薬を毎日1回飲んでいただくこともあります。
<膀胱尿管逆流>
 尿は膀胱から体の外へ排泄され、普通は腎臓の方へは流れません。膀胱から尿管へ尿が逆流する現象を膀胱尿管逆流と呼びます。水腎症の項で述べた排尿時膀胱造影により診断されます。逆流があると尿路感染を起こしやすくなります。感染を予防するため、少量の抗菌薬を毎日1回飲む必要があります。逆流は軽ければ、また年齢が若ければ自然に治ることがあります。逆流の程度が強い場合、また軽くても感染を繰り返す場合は手術して逆流を治す必要があります。
<先天性腎尿路異常>
 上記の水腎症、膀胱尿管逆流に腎臓のサイズ、形が生まれつき異常な病気を含めて先天性腎尿路異常といいます。サイズが小さい低形成腎、囊胞(ふくろ)が多数あり、正常な腎組織がほとんどみられない異形成腎があります。片方しか腎臓がない場合もあります。異常のある腎臓の働きは低下するのですが、片側の異常であれば差し当たっての問題はありません。残りの腎臓が代償してくれるからです。上記の膀胱尿管逆流、水腎症、低形成腎、異形成腎はよく合併します。尿路感染症を起こすと腎臓に傷がつき腎機能が低下するので気をつけなければなりません。また腎臓が片方しか働いていないと、成長に伴い血圧が上がったり、たんぱく尿が出たり腎機能が低下することがあるので定期的な受診が必要です。小さく生まれたり、早く生まれた場合は腎機能低下のリスクが大きくなります。
<慢性糸球体腎炎>
 上記の急性糸球体腎炎と異なり、慢性糸球体腎炎は腎臓の働きが悪くなる可能性があるので、検査、治療のため通院していただく必要があります。頻度が多いものにIgA腎症、紫斑病性腎炎があります。たんぱく尿、血尿が同時にある場合、たんぱく尿だけでも長く続く場合は、慢性糸球体腎炎の可能性があります。診断には原則的に腎生検という、入院が必要な検査を行います。
<IgA腎症>
 最も多い慢性糸球体腎炎です。腎生検で採った腎臓の一部を顕微鏡で見て、IgAという抗体が糸球体という血液を漉すふるいに沈着していることにより診断されます。軽症の場合は降圧薬のある種のもの(アンジオテンシン変換酵素阻害薬、受容体拮抗薬)、漢方薬である柴苓湯、中等症以上では副腎皮質ステロイドホルモン薬、免疫抑制薬を飲むことにより治療します。
<紫斑病性腎炎>
 IgA血管炎(別名アナフィラクトイド紫斑病、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病)という紫斑、関節痛、腹痛などを呈する病気では3分の2以上の患者さんに腎炎が合併します。試験紙で分かる程度の血尿からネフローゼ症候群を呈したり、腎臓の働きが急激に悪くなる場合まで程度は様々です。多くの場合は半年以内に改善がみられますが長引くこともあります。症状に応じIgA腎症と同じような治療を行います。強い薬を使う必要がある時にはその前に病気の程度をみるための腎生検を行います。
<夜尿症>
 5歳では20%、6歳では10%くらいのお子さんにおねしょがみられ、年々15%ずつ治っていきます。5~6歳以降のおねしょを夜尿症といいます。宿泊行事が始まる7~8歳で不都合を感じられる場合が多いようです。病気が原因で夜尿症が起きることもあります。昼間のおもらしがある場合は膀胱の機能に問題があることがあります。原因になる病気がないことが分かったら、「起こさず、あせらず、しからず」を原則として対処します。夕方以降の塩分、水分摂取を控える、おねしょのない日にはカレンダーにシールを貼る、おねしょの片付けの手伝いをさせるなどの生活習慣により治らない場合は薬による治療法、アラームを利用する治療法があります。

08/06/2026

今回は「貧血」について投稿しようと思います。特に女性の方は、貧血の方は多いのではないでしょうか?また、自分が貧血だと気付いていない方もいると思います。

まず貧血とは、赤血球に含まれる血色素(ヘモグロビン)濃度が低下した状態をいいます。
貧血はその原因によっていくつかの種類に分けることができますが、もっとも多いものは鉄欠乏性貧血です。
赤血球に含まれるヘモグロビンの働きで重要なことは、血液中の酸素を全身に運搬すること、そしてその酸素を運ぶ役割を担っている事なのです。
ヘモグロビンは主に鉄を含む「ヘム」という色素とたんぱく質が結合(ヘムたんぱく質)してできており、これが酸素と結合して全身に運ばれていきます。そのため体内に含まれる鉄が減少してしまうと、ヘモグロビンも減り酸素を運搬する能力が低下してしまい、
疲れやすい、頭痛、息切れなどの症状や運動機能の低下などを招くことになります。
また、足の裏に白血球が固まっているので、走ったりする事でこの白血球が崩れて貧血になりやすい他、汗をかくと汗の中にも鉄分が入っているので、スポーツをする方は特に気をつけてくださいね。

☘️貧血度簡単チェック!☘️
・疲れやすい
・頭痛がよくある
・息切れする
・氷をガリガリ噛んで食べる(飴など固いもの)
・よく立ちくらみがする
・爪が白く、欠けやすい

食品中に含まれる鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄はレバーや赤肉、赤身の魚などに多く含まれており、非ヘム鉄は野菜や卵、牛乳などに多く含まれています。
この2種類で大きく違うのは体内での吸収率で、「ヘム鉄」は10%〜30%と高く、「非ヘム鉄」は5%以下と低いです。
実際はヘム鉄か非ヘム鉄の、どちらかのみを食べるということはありませんが、サプリメントなどを選ぶ基準にされると良いかと思います。
また、動物性の鉄分はビタミンCと一緒に取ると吸収力がUPしますよ。
逆に緑茶は鉄の吸収を妨げてしまいます。
参考にしてみてください😊

今回も腎・泌尿器の病気の尿路結石を紹介します。<概要> 尿路結石はその位置により、腎結石・尿管結石・膀胱結石などと呼ばれています。日本における年間有病率は人口10万対121.3人であり、また生涯罹患率は男性9.4%、女性4.1%、すなわち日...
27/05/2026

今回も腎・泌尿器の病気の尿路結石を紹介します。
<概要>
 尿路結石はその位置により、腎結石・尿管結石・膀胱結石などと呼ばれています。日本における年間有病率は人口10万対121.3人であり、また生涯罹患率は男性9.4%、女性4.1%、すなわち日本人男性の10.6人に1人、女性の24.4人に1人が一生の間に1度はかかってしまう病気なのです。
結石の約80%はカルシウム結石で、残りは尿酸、シスチン、ストロバイト等、様々な物質で構成されています。ストロバイト結石はマグネシウム、アンモニウム、リン酸の混合物で、感染のある場合にのみ尿中で形成されるため、感染結石とも呼ばれます。尿路結石の原因は非常に複雑で、尿路の通過障害、感染、寝たきりまたは骨折、食事(動物性蛋白質や脂肪など)、内分泌・代謝異常など様々な要因が考えられています。
<症状>
 結石のサイズは、非常に小さく肉眼では見えないものから、腎盂全体をふさぐサンゴ状結石と呼ばれるものまで様々です。結石があっても無症状の場合もあり、特にごく小さいものはあまり症状が出現しません。しかし腎盂や尿管など尿の流れるスペースが結石で塞がれると、背中や脇腹、下腹部に痛みが生じます。痛みは2~3時間続くことが多く、その間は数分おきに痛みが強くなるというように、痛みの強弱に波があるのが特徴です。尿の流れが悪くなることで腎臓からの尿の出口である腎盂・腎杯が腫れて「水腎症」を呈することがあり、腎機能を悪化させる場合があります。また結石による刺激に伴って血尿や頻尿の症状を自覚される場合もあります。
<診断>
 腹部レントゲン検査が尿路結石の診断に有用で、補助的な検査として尿検査や腹部超音波検査を施行します。構成成分によってはレントゲンに写らない結石もあります。その際はCT検査や静脈性尿路造影など更なる検査で診断が可能となります。静脈性尿路造影では、造影剤が腎臓を経由し排泄されるに伴い、結石の輪郭が確認できます。
<治療>
 7mm未満の結石は、飲水、運動などの日常生活指導のみで自然排石が期待できるので、無治療で経過観察します。排石促進を目的とする薬剤を投与することもあります。ただし繰り返す痛みの発作、尿路感染の合併、上部尿路閉塞で腎機能低下が懸念される場合は積極的な治療を行います。結石が7mm以上の場合には、結石を体外に出すため積極的な治療を行います。積極的治療法として下記の治療から選択します。
(1)ESWL:体外衝撃波結石破砕術
体外で発生した衝撃波を体内の結石に収束させ破砕します。切開や麻酔の必要がなく、鎮痛剤の使用のみで治療を行う事ができます。一方、サイズの大きな結石やESWLで砕石不良な結石は後述のTUL(経尿道的尿管砕石術)やPNL(経皮的腎砕石術)の適応となります。また下部尿管結石では骨盤の影響で上部尿管と比較し衝撃波を当てにくく、また外尿道口からの距離も近いことからTULを施行した方がよいこともあります。
(2)TUL:経尿道的尿管砕石術
細い内視鏡を、尿道・膀胱を経由し尿管に挿入し、レーザーなどによって結石を砕きます。当院では従来の硬性尿管鏡だけでなく、柔らかい軟性尿管鏡を使用したf-TULも行っています。軟性尿管鏡の導入により、硬性尿管鏡で到達困難であった腎結石の治療も可能となりました。全身麻酔または下半身麻酔が必要となります。
(3)PNL:経皮的腎砕石術
背中から皮膚を経由して直接腎臓に約1cmの穴をあけて筒を挿入し、内視鏡を挿入できるようにした上でレーザーなどで結石を砕きます。全身麻酔が必要となります。腎結結石のうちESWLで砕けないような固い結石や大きい結石が対象になります。
<生活上の注意>
排石された結石の成分分析を行い、結石成分に従って食事指導や薬物療法を行います。また結石成分に関わらず、水分を多く摂取することが再発予防の基本です。1日2リットル以上が水分摂取の目安ですが、心臓のご病気等をお持ちの方は注意が必要です。水分の補給源としてはとくに指定はしませんが、尿中に結石形成の促進物質(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)を過剰に排泄させる清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶、アルコールの過剰摂取は避けてください。現実的には水やシュウ酸含有量の少ない茶類(麦茶、ほうじ茶など)が適していると思われます。

25/05/2026

まだ5月だと言うのに、30度を越える暑さが続きますね
熱中症は気温が高いなどの環境下で、体温調節の機能がうまく働かず、体内に熱がこもってしまうことで起こります。小さな子どもや高齢者、病気の方などは特に熱中症になりやすいため注意が必要です。
毎年言われていますが、再度熱中症対策の確認をしておきましょう!

熱中症は、毎年7月から8月に多く発生していますが、年々暑さが更新されています 。5月は体が暑さに慣れていないため、暑い日には熱中症による救急搬送者数が増えるのです。
私たちの体は、血管を広げて外気に体内の熱を放射したり、汗をかいて蒸発させたりして体温の急激な上昇を防いでいます。
しかし、気温が高いと体内の熱は放散されず、湿度が高いと汗は蒸発しません。
熱中症は、周りの温度に体が対応することができず、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温の調節機能がうまく働かないなどが原因で起こります。
日最高気温が30度を超えるあたりから熱中症による死亡者数が増え始め、その後気温が高くなるにしたがって死亡率が急激に上昇します。また、熱中症は気温が高い場合だけでなく、湿度が高い場合や、風が弱い、日差しが強いなどの環境でも起こりやすくなります。近年、地球温暖化や大都市のヒートアイランド現象により、熱中症の危険性は高まってきています。特に、小さい子ども、高齢者、体調不良の人、肥満の人、ふだんから運動をしていない人などは熱中症になりやすいので注意が必要です。

☆熱中症は予防が大切!
熱中症は命にかかわる病気ですが、予防法を知っていれば防ぐことができます。熱中症を防ぐためには、「暑さを避ける」「こまめな水分補給」「暑さに備えた体作り」が大切です。

(1)暑さを避けましょう
・感染症予防のため、換気扇や窓開放によって換気を確保しつつ、エアコンの温度設定をこまめに調整しましょう。
・外出時は暑い日や暑い時間帯を避け、無理のない範囲で活動を。
・涼しい服装を心がけ、外に出る際は日傘や帽子を活用しましょう。
・少しでも体調に異変を感じたら、涼しい場所に移動し、水分を補給する。

(2)適宜マスクをはずしましょう
・気温・湿度の高い中でマスクをすると熱中症のリスクが高くなるため注意が必要です。
・屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合は、マスクをはずしましょう。
・マスクを着用しているときは、負荷のかかる作業や運動を避け、周囲の人との距離を十分にとったうえで、適宜マスクをはずして休憩を。

(3)こまめに水分を補給しましょう
・のどが渇く前に、こまめに水分を補給する(目安は1日あたり1.2リットル)。
・たくさん汗をかいたときは、スポーツドリンクや塩あめなどで水分とともに塩分も補給。

(4)日ごろから健康管理をしましょう
・日ごろから体温測定や健康チェックをしましょう。
・体調が悪いと感じたときは、無理せず自宅で静養を。

(5)暑さに備えた体づくりをする
・暑くなり始めの時期から、適度に運動を。
・水分補給は忘れずに、無理のない範囲で行いましょう。
・「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度で毎日30分程度行い、身体が暑さに慣れるようにしましょう。

熱中症の発生には、その日の体調が影響します。前の晩に深酒をしたり、朝食を抜いたりした状態で暑い環境に行くのは避けましょう。
風邪などで発熱している人や下痢などで脱水症状の人、小さい子どもや高齢者、肥満の人、心肺機能や腎機能が低下している人などは熱中症を起こしやすいので、暑い場所での運動や作業を考慮する必要があります。

熱中症は屋内でも起こります。小さい子どもや高齢者、病人がいる家庭では、冷房の使用を我慢しすぎないで、適切にエアコンを利用しましょう。
小さい子どもは、汗腺をはじめとした体温調節機能が十分に発達していないため、気温が皮膚温よりも高くなったときに、深部体温が上昇し、熱中症を起こしやすくなります。
また、気温が高い日などに散歩をする場合、身長が低い子どもは、地表面からの熱の影響を受けやすく、大人よりも熱中症になりやすいので、特別な注意が必要です。子どもの顔が赤かったり、ひどく汗をかいたりしているときには、深部体温がかなり上昇していると推察されますので、涼しい場所で十分に休ませましょう。子どもが熱中症にならないように、ふだんから、風通しのよい涼しい衣服を着せ、水をこまめに飲ませるようにしましょう。
高齢者は、暑さを感じにくい上に体温調節機能の大切な役割を果たしている発汗と血液循環が低下し、暑さに対する抵抗力も少なくなっています。また、のどの渇きを強く感じないため、水分不足になりがちで、気づかないうちに熱中症を起こしてしまう場合もあります。熱中症にならないために、のどが渇いていなくても、早め早めに水分補給をしましょう。

☆熱中症の目安
I度 軽症

めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)、大量の発汗

現場での応急処置が可能

II度 中等症

頭痛・気分の不快・吐き気・おう吐・力が入らない・体がぐったりする(熱疲労、熱疲弊)

病院への搬送が必要

III度 重症

意識がなくなる・けいれん・歩けない・刺激への反応がおかしい・高体温(熱射病)

入院・集中治療の必要

参考にしてみてください。
熱中症が疑われる人を見かけたときは、すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどが効いている室内など涼しい場所へ移しましょう。また、衣服をゆるめたり、体に水をかけたり、またぬれタオルをあてて扇いだりするなどして、体から熱を放散させ冷やしましょう。
たくさん汗をかいた場合は、冷たいお水やスポーツドリンクの他に塩あめなどで、塩分も補給しましょう。
自分の力で水分の摂取ができない場合や、意識障害が見られる場合は、症状が重くなっているため、すぐに病院に搬送するようにしてください。

これから夏本番!
気をつけていきたいですね。

今回は、外来でも比較的頻度の多い尿路感染症について説明します。<概要> 尿路感染症とは、腎臓、膀胱、尿道、前立腺、精巣、精巣上体などの尿の通り道に起きる感染症です。炎症の起こっている場所によって膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などと分かれます。原因...
25/04/2026

今回は、外来でも比較的頻度の多い尿路感染症について説明します。
<概要>
 尿路感染症とは、腎臓、膀胱、尿道、前立腺、精巣、精巣上体などの尿の通り道に起きる感染症です。炎症の起こっている場所によって膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などと分かれます。原因としては、尿の出口から細菌が逆行して発症することが最も多いです。他の疾患の合併症や膀胱に石があったり、膀胱ののび縮みする力が弱かったりという感染を引きおこす背景のないものを単純性尿路感染症といい、合併症や感染を起こしやすい背景をもつものを複雑性尿路感染症といいます。一般に単純性は急性であることが多く、複雑性は慢性の経過をたどります。尿路感染症は小児、性的活動期、高齢者に多い疾患です。原因菌としては大腸菌が最も多く、複雑性尿路感染では大腸菌の他、肺炎桿菌(はいえんかんきん)やブドウ球菌などの割合が多くなっていきます。腎臓から尿管までを上部尿路といい、ここに炎症がおこったものが上部尿路感染症です。代表的疾患は尿の通り道を逆行して腎臓に炎症がおこる腎盂腎炎(じんうじんえん)です。また、膀胱から尿道までを下部尿路といい、炎症を起こした場合、下部尿路感染症といいます。性的交渉で感染する感染症を性行為感染症(STD)といいます。STDの病原体としてはクラミジアトラコマチスや淋菌が一般的ですが、近年若年者での梅毒が増加してきています。
<症状>
・上部尿路感染症
一般的に症状の出現は急激で、発熱、炎症が起こっている側の背部痛、血尿、寒気、嘔気、嘔吐が特徴的です。下記にのべる下部尿路感染症の症状が、約3分の1に同時にみられます。
・下部尿路感染症
トイレが近い、常に尿意をもよおす、尿をするとき、したあとが痛い等の症状があります。下腹部の痛みと、しばしば腰の下部の痛みを伴うことがあります。前立腺炎、精巣上体炎などは発熱を伴う事が多くみられます。
<診断>
 尿検査で白血球反応や潜血反応が陽性になることが多く、尿沈渣(にょうちんさ)では白血球や、細菌がみられることもあります。膀胱炎、尿道炎では血液検査上、ほとんど異常はありませんが、腎盂腎炎や、前立腺炎、精巣上体炎では、白血球、CRPという炎症反応が上昇することが多いです。細菌検査で尿培養(にょうばいよう)を行い、原因となっている菌をみつけます。さらに菌を殺すのにどの抗生物質が有効かを判定します。STDではクラミジア、淋菌の検査を行います。画像検査では必要に応じ超音波、レントゲン、排泄性尿路造影、CTスキャンなどの検査を行います。複雑性尿路感染症(結石を伴った腎盂腎炎など)では、早急な処置が必要になる場合があります
<治療>
 原因によって治療を行いますが、一般的には抗菌剤(抗生物質)を使用します。膀胱炎や尿道炎の場合、飲み薬だけで治癒することが多いものの、高熱を伴う腎盂腎炎や前立腺炎などの場合、入院治療が必要となる場合があります。また、結石による腎盂腎炎の場合は緊急で尿管ステントという尿の通り道を確保するための管を内視鏡的に挿入する場合があります。

住所

小松北町1丁目1-27 1F
Nishinomiya-shi, Hyogo
663-8126

営業時間

月曜日 09:00 - 12:00
16:00 - 19:00
火曜日 09:00 - 12:00
水曜日 09:00 - 12:00
14:00 - 19:00
木曜日 09:00 - 12:00
金曜日 09:00 - 12:00
土曜日 09:00 - 12:00
日曜日 09:00 - 17:00

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+81798443315

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