いしづかクリニック

いしづかクリニック 地域のかかりつけ医として、会話を大切にした心温かい、人に寄り添う本?

今回も腎・泌尿器の病気の尿路結石を紹介します。<概要> 尿路結石はその位置により、腎結石・尿管結石・膀胱結石などと呼ばれています。日本における年間有病率は人口10万対121.3人であり、また生涯罹患率は男性9.4%、女性4.1%、すなわち日...
27/05/2026

今回も腎・泌尿器の病気の尿路結石を紹介します。
<概要>
 尿路結石はその位置により、腎結石・尿管結石・膀胱結石などと呼ばれています。日本における年間有病率は人口10万対121.3人であり、また生涯罹患率は男性9.4%、女性4.1%、すなわち日本人男性の10.6人に1人、女性の24.4人に1人が一生の間に1度はかかってしまう病気なのです。
結石の約80%はカルシウム結石で、残りは尿酸、シスチン、ストロバイト等、様々な物質で構成されています。ストロバイト結石はマグネシウム、アンモニウム、リン酸の混合物で、感染のある場合にのみ尿中で形成されるため、感染結石とも呼ばれます。尿路結石の原因は非常に複雑で、尿路の通過障害、感染、寝たきりまたは骨折、食事(動物性蛋白質や脂肪など)、内分泌・代謝異常など様々な要因が考えられています。
<症状>
 結石のサイズは、非常に小さく肉眼では見えないものから、腎盂全体をふさぐサンゴ状結石と呼ばれるものまで様々です。結石があっても無症状の場合もあり、特にごく小さいものはあまり症状が出現しません。しかし腎盂や尿管など尿の流れるスペースが結石で塞がれると、背中や脇腹、下腹部に痛みが生じます。痛みは2~3時間続くことが多く、その間は数分おきに痛みが強くなるというように、痛みの強弱に波があるのが特徴です。尿の流れが悪くなることで腎臓からの尿の出口である腎盂・腎杯が腫れて「水腎症」を呈することがあり、腎機能を悪化させる場合があります。また結石による刺激に伴って血尿や頻尿の症状を自覚される場合もあります。
<診断>
 腹部レントゲン検査が尿路結石の診断に有用で、補助的な検査として尿検査や腹部超音波検査を施行します。構成成分によってはレントゲンに写らない結石もあります。その際はCT検査や静脈性尿路造影など更なる検査で診断が可能となります。静脈性尿路造影では、造影剤が腎臓を経由し排泄されるに伴い、結石の輪郭が確認できます。
<治療>
 7mm未満の結石は、飲水、運動などの日常生活指導のみで自然排石が期待できるので、無治療で経過観察します。排石促進を目的とする薬剤を投与することもあります。ただし繰り返す痛みの発作、尿路感染の合併、上部尿路閉塞で腎機能低下が懸念される場合は積極的な治療を行います。結石が7mm以上の場合には、結石を体外に出すため積極的な治療を行います。積極的治療法として下記の治療から選択します。
(1)ESWL:体外衝撃波結石破砕術
体外で発生した衝撃波を体内の結石に収束させ破砕します。切開や麻酔の必要がなく、鎮痛剤の使用のみで治療を行う事ができます。一方、サイズの大きな結石やESWLで砕石不良な結石は後述のTUL(経尿道的尿管砕石術)やPNL(経皮的腎砕石術)の適応となります。また下部尿管結石では骨盤の影響で上部尿管と比較し衝撃波を当てにくく、また外尿道口からの距離も近いことからTULを施行した方がよいこともあります。
(2)TUL:経尿道的尿管砕石術
細い内視鏡を、尿道・膀胱を経由し尿管に挿入し、レーザーなどによって結石を砕きます。当院では従来の硬性尿管鏡だけでなく、柔らかい軟性尿管鏡を使用したf-TULも行っています。軟性尿管鏡の導入により、硬性尿管鏡で到達困難であった腎結石の治療も可能となりました。全身麻酔または下半身麻酔が必要となります。
(3)PNL:経皮的腎砕石術
背中から皮膚を経由して直接腎臓に約1cmの穴をあけて筒を挿入し、内視鏡を挿入できるようにした上でレーザーなどで結石を砕きます。全身麻酔が必要となります。腎結結石のうちESWLで砕けないような固い結石や大きい結石が対象になります。
<生活上の注意>
排石された結石の成分分析を行い、結石成分に従って食事指導や薬物療法を行います。また結石成分に関わらず、水分を多く摂取することが再発予防の基本です。1日2リットル以上が水分摂取の目安ですが、心臓のご病気等をお持ちの方は注意が必要です。水分の補給源としてはとくに指定はしませんが、尿中に結石形成の促進物質(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)を過剰に排泄させる清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶、アルコールの過剰摂取は避けてください。現実的には水やシュウ酸含有量の少ない茶類(麦茶、ほうじ茶など)が適していると思われます。

25/05/2026

まだ5月だと言うのに、30度を越える暑さが続きますね
熱中症は気温が高いなどの環境下で、体温調節の機能がうまく働かず、体内に熱がこもってしまうことで起こります。小さな子どもや高齢者、病気の方などは特に熱中症になりやすいため注意が必要です。
毎年言われていますが、再度熱中症対策の確認をしておきましょう!

熱中症は、毎年7月から8月に多く発生していますが、年々暑さが更新されています 。5月は体が暑さに慣れていないため、暑い日には熱中症による救急搬送者数が増えるのです。
私たちの体は、血管を広げて外気に体内の熱を放射したり、汗をかいて蒸発させたりして体温の急激な上昇を防いでいます。
しかし、気温が高いと体内の熱は放散されず、湿度が高いと汗は蒸発しません。
熱中症は、周りの温度に体が対応することができず、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温の調節機能がうまく働かないなどが原因で起こります。
日最高気温が30度を超えるあたりから熱中症による死亡者数が増え始め、その後気温が高くなるにしたがって死亡率が急激に上昇します。また、熱中症は気温が高い場合だけでなく、湿度が高い場合や、風が弱い、日差しが強いなどの環境でも起こりやすくなります。近年、地球温暖化や大都市のヒートアイランド現象により、熱中症の危険性は高まってきています。特に、小さい子ども、高齢者、体調不良の人、肥満の人、ふだんから運動をしていない人などは熱中症になりやすいので注意が必要です。

☆熱中症は予防が大切!
熱中症は命にかかわる病気ですが、予防法を知っていれば防ぐことができます。熱中症を防ぐためには、「暑さを避ける」「こまめな水分補給」「暑さに備えた体作り」が大切です。

(1)暑さを避けましょう
・感染症予防のため、換気扇や窓開放によって換気を確保しつつ、エアコンの温度設定をこまめに調整しましょう。
・外出時は暑い日や暑い時間帯を避け、無理のない範囲で活動を。
・涼しい服装を心がけ、外に出る際は日傘や帽子を活用しましょう。
・少しでも体調に異変を感じたら、涼しい場所に移動し、水分を補給する。

(2)適宜マスクをはずしましょう
・気温・湿度の高い中でマスクをすると熱中症のリスクが高くなるため注意が必要です。
・屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合は、マスクをはずしましょう。
・マスクを着用しているときは、負荷のかかる作業や運動を避け、周囲の人との距離を十分にとったうえで、適宜マスクをはずして休憩を。

(3)こまめに水分を補給しましょう
・のどが渇く前に、こまめに水分を補給する(目安は1日あたり1.2リットル)。
・たくさん汗をかいたときは、スポーツドリンクや塩あめなどで水分とともに塩分も補給。

(4)日ごろから健康管理をしましょう
・日ごろから体温測定や健康チェックをしましょう。
・体調が悪いと感じたときは、無理せず自宅で静養を。

(5)暑さに備えた体づくりをする
・暑くなり始めの時期から、適度に運動を。
・水分補給は忘れずに、無理のない範囲で行いましょう。
・「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる強度で毎日30分程度行い、身体が暑さに慣れるようにしましょう。

熱中症の発生には、その日の体調が影響します。前の晩に深酒をしたり、朝食を抜いたりした状態で暑い環境に行くのは避けましょう。
風邪などで発熱している人や下痢などで脱水症状の人、小さい子どもや高齢者、肥満の人、心肺機能や腎機能が低下している人などは熱中症を起こしやすいので、暑い場所での運動や作業を考慮する必要があります。

熱中症は屋内でも起こります。小さい子どもや高齢者、病人がいる家庭では、冷房の使用を我慢しすぎないで、適切にエアコンを利用しましょう。
小さい子どもは、汗腺をはじめとした体温調節機能が十分に発達していないため、気温が皮膚温よりも高くなったときに、深部体温が上昇し、熱中症を起こしやすくなります。
また、気温が高い日などに散歩をする場合、身長が低い子どもは、地表面からの熱の影響を受けやすく、大人よりも熱中症になりやすいので、特別な注意が必要です。子どもの顔が赤かったり、ひどく汗をかいたりしているときには、深部体温がかなり上昇していると推察されますので、涼しい場所で十分に休ませましょう。子どもが熱中症にならないように、ふだんから、風通しのよい涼しい衣服を着せ、水をこまめに飲ませるようにしましょう。
高齢者は、暑さを感じにくい上に体温調節機能の大切な役割を果たしている発汗と血液循環が低下し、暑さに対する抵抗力も少なくなっています。また、のどの渇きを強く感じないため、水分不足になりがちで、気づかないうちに熱中症を起こしてしまう場合もあります。熱中症にならないために、のどが渇いていなくても、早め早めに水分補給をしましょう。

☆熱中症の目安
I度 軽症

めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)、大量の発汗

現場での応急処置が可能

II度 中等症

頭痛・気分の不快・吐き気・おう吐・力が入らない・体がぐったりする(熱疲労、熱疲弊)

病院への搬送が必要

III度 重症

意識がなくなる・けいれん・歩けない・刺激への反応がおかしい・高体温(熱射病)

入院・集中治療の必要

参考にしてみてください。
熱中症が疑われる人を見かけたときは、すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどが効いている室内など涼しい場所へ移しましょう。また、衣服をゆるめたり、体に水をかけたり、またぬれタオルをあてて扇いだりするなどして、体から熱を放散させ冷やしましょう。
たくさん汗をかいた場合は、冷たいお水やスポーツドリンクの他に塩あめなどで、塩分も補給しましょう。
自分の力で水分の摂取ができない場合や、意識障害が見られる場合は、症状が重くなっているため、すぐに病院に搬送するようにしてください。

これから夏本番!
気をつけていきたいですね。

今回は、外来でも比較的頻度の多い尿路感染症について説明します。<概要> 尿路感染症とは、腎臓、膀胱、尿道、前立腺、精巣、精巣上体などの尿の通り道に起きる感染症です。炎症の起こっている場所によって膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などと分かれます。原因...
25/04/2026

今回は、外来でも比較的頻度の多い尿路感染症について説明します。
<概要>
 尿路感染症とは、腎臓、膀胱、尿道、前立腺、精巣、精巣上体などの尿の通り道に起きる感染症です。炎症の起こっている場所によって膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などと分かれます。原因としては、尿の出口から細菌が逆行して発症することが最も多いです。他の疾患の合併症や膀胱に石があったり、膀胱ののび縮みする力が弱かったりという感染を引きおこす背景のないものを単純性尿路感染症といい、合併症や感染を起こしやすい背景をもつものを複雑性尿路感染症といいます。一般に単純性は急性であることが多く、複雑性は慢性の経過をたどります。尿路感染症は小児、性的活動期、高齢者に多い疾患です。原因菌としては大腸菌が最も多く、複雑性尿路感染では大腸菌の他、肺炎桿菌(はいえんかんきん)やブドウ球菌などの割合が多くなっていきます。腎臓から尿管までを上部尿路といい、ここに炎症がおこったものが上部尿路感染症です。代表的疾患は尿の通り道を逆行して腎臓に炎症がおこる腎盂腎炎(じんうじんえん)です。また、膀胱から尿道までを下部尿路といい、炎症を起こした場合、下部尿路感染症といいます。性的交渉で感染する感染症を性行為感染症(STD)といいます。STDの病原体としてはクラミジアトラコマチスや淋菌が一般的ですが、近年若年者での梅毒が増加してきています。
<症状>
・上部尿路感染症
一般的に症状の出現は急激で、発熱、炎症が起こっている側の背部痛、血尿、寒気、嘔気、嘔吐が特徴的です。下記にのべる下部尿路感染症の症状が、約3分の1に同時にみられます。
・下部尿路感染症
トイレが近い、常に尿意をもよおす、尿をするとき、したあとが痛い等の症状があります。下腹部の痛みと、しばしば腰の下部の痛みを伴うことがあります。前立腺炎、精巣上体炎などは発熱を伴う事が多くみられます。
<診断>
 尿検査で白血球反応や潜血反応が陽性になることが多く、尿沈渣(にょうちんさ)では白血球や、細菌がみられることもあります。膀胱炎、尿道炎では血液検査上、ほとんど異常はありませんが、腎盂腎炎や、前立腺炎、精巣上体炎では、白血球、CRPという炎症反応が上昇することが多いです。細菌検査で尿培養(にょうばいよう)を行い、原因となっている菌をみつけます。さらに菌を殺すのにどの抗生物質が有効かを判定します。STDではクラミジア、淋菌の検査を行います。画像検査では必要に応じ超音波、レントゲン、排泄性尿路造影、CTスキャンなどの検査を行います。複雑性尿路感染症(結石を伴った腎盂腎炎など)では、早急な処置が必要になる場合があります
<治療>
 原因によって治療を行いますが、一般的には抗菌剤(抗生物質)を使用します。膀胱炎や尿道炎の場合、飲み薬だけで治癒することが多いものの、高熱を伴う腎盂腎炎や前立腺炎などの場合、入院治療が必要となる場合があります。また、結石による腎盂腎炎の場合は緊急で尿管ステントという尿の通り道を確保するための管を内視鏡的に挿入する場合があります。

13/04/2026

いつもこの時期に「スモールチェンジ」の投稿をしていますが、暖かくなり身体も動かしやすいこの時期だからこそ、出来る事があります。

 “スモールチェンジ”とは
行動する負担感を下げること、まずは小さくても続けられる行動から始め、続けられたら数や量を増やす、質を高める、そしてそれらの行動を続けていくことで効果を求める活動です。
いつでも、どこでも、思い立ったときにできる健康づくりの取り組みの事を言います。

みなさんは、日ごろの生活で「わかっているけど、やめられない、始められない、続けられない」ことってありませんか?
健康づくりは、まさに「わかっているけど…」という行動なのです。
一方で、指導者になると、できない人は意思の弱い人、根性のない人と決めつけてはいませんか?健康づくりを、できそうなことから始めてみるのは、いかがでしょうか。

一大決心が必要な大きな事をするのではなく、ハードルを下げて自分が今できる小さな健康行動を始めてみるといいですよ。

例えば
・ご飯茶碗を少し小さいものにする
・食事の時には野菜から食べる
・エレベーターを使わずに階段を利用する
など、簡単なことを続けることで効果が期待でき、自信にも繋がります。

スモールチェンジ活動のコツは
☆いくつものことを同時に始めない
まず1つから始めて、継続できるようになった段階で少しずつ増やしていく
☆「いつ・どこで・どのくらい」するのかを決める
量や頻度などを具体的に決めておく
(例:ご飯を減らす→夕食時 自宅で・週5回など)

☆気楽にやる
気楽が大事です!
できない時が続いたり、やめてしまうことがあったとしても、また今から始めればよいという気持ちで

それでもうまくいかない、やる気になれない時は、スモールチェンジをもっと小さくしてみましょう。
毎日の積み重ねが、あなたの健康づくりの大きな成果への近道になりますよ。
わずかな行動が、あなたを変える!
ぜひ取り組んでみてください😊

今回も、男性に特徴的な前立腺肥大症についてご説明します。<概要> 前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関わってい...
27/03/2026

今回も、男性に特徴的な前立腺肥大症についてご説明します。
<概要>
 前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関わっています。この前立腺が大きくなり尿の通り道が狭くなることで様々な症状をきたす病態を前立腺肥大症といいます。誤解されがちですが、前立腺がんとは関係のない病気です。
<症状>
 前立腺が肥大すると、前立腺の中央を通っている尿道を圧迫するようになり、おしっこが出にくくなります。また、肥大した前立腺が膀胱を圧迫することもあります。症状は以下のように、さまざまなものがあります。
• 夜中に何度もトイレに起きる
• トイレに向かってからおしっこが出るまでに時間がかかる
• おしっこの勢いが弱い。
• おなかに力をいれないと排尿できない。
• 排尿後まだ残っている感じがする。
• 尿を出したくても出せなくなる(この状態を尿閉(にょうへい)といいます)。
<診断>
• 問診。I-PSS(国際前立腺症状スコア)というアンケート用紙に点数をつけていただいて排尿状態、満足度を評価します。
• 直腸内指診。前立腺の大きさや硬さを調べるために、肛門から指を入れて直腸の壁ごしに前立腺をさわります。診察時には仰向けに寝て、両膝を抱えるような格好をして頂きます。
• 尿流測定。コンピュータ装置とつながった小便器に実際に排尿して、おしっこの勢いや排尿にかかる時間を測定します。そして測定結果をグラフにして排尿状態を調べます。
• 残尿測定。排尿した後、膀胱に残っている尿の量を測るのが残尿測定です。検査には超音波装置を利用した機械で測ります。
• 前立腺超音波検査。肛門からプローブ(細い超音波装置)を入れ、直腸内から前立腺の形や大きさを調べます。腹部エコーよりも臓器の間近から発信させるために、くわしい状態を知ることが出来ます。直腸内にプローブを入れるために、若干の痛みを感じる方もいらっしゃいます。
<治療>
 前立腺肥大症の治療は、まず薬を使って治療をはじめ、自覚症状や検査で薬の効果を確認しながら、薬物療法が不十分な場合などに手術をするのが一般的です。
(薬物療法)
 薬物療法にはおもにα受容体遮断薬という薬剤を使います。前立腺や尿道の筋肉には、蓄尿をコントロールしている自律神経(交感神経)の命令を受け止める「α受容体」という器官がたくさん存在しています。α受容体遮断薬は、α受容体に作用する薬剤です。α受容体と結びつき、自律神経(交感神経)の命令が前立腺や尿道の筋肉に伝わらないようにします。すると、自律神経の過剰な命令によって緊張している前立腺や尿道の筋肉が、ゆるんでリラックスするので、排尿障害の各種症状が改善されます。副作用としてはまれに血圧が下がってめまいや、ふらふらした感じが起きることがあります。ほかにも薬物療法として前立腺の局所の男性ホルモンの働きを抑える抗男性ホルモン剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、抗コリン剤などを使用することもあります。
(手術)
 手術というとメスで体を切る、というイメージがあり敬遠する人も少なくありませんが、現在では内視鏡を用いた手術が広く行われるようになってきており、からだの外側にはメスを入れないでも手術ができるようになっています。標準的な手術は経尿道的前立腺切除術(TUR-P)といいます。尿道から内視鏡を挿入して、先端についているループ状の電気メスで、肥大した前立腺の内側(内腺)をけずりとる手術です。手術時間は前立腺肥大症の程度にもよりますが、60分前後です。通常は手術後1週間以内に退院できます。手術の合併症としては出血や発熱などがありえることと、術後に勃起障害、逆行性射精(射精時に精液が膀胱へ逆流してしまう)や尿道狭窄(尿のとおりみちが狭くなって尿が出にくくなる)などが起こる可能性があります。また狭心症や心筋梗塞、不整脈などの心臓病がある人は、手術を受けられないことがあります。
(生活上の注意)
• アルコール飲料の飲みすぎは前立腺が充血して尿が出にくくなります。
• 排尿を我慢しないようにしましょう。膀胱や腎臓に悪影響を与えることがあります。
• コレステロールの多い食事を取りすぎると男性ホルモンの働きが活発になり前立腺の肥大が進む可能性が指摘されています。
• 風邪薬や抗ヒスタミン剤、精神安定剤には排尿障害の症状を悪化させる成分が含まれている場合がありますので、服用するときは医師・薬剤師に相談することをおすすめします。

13/03/2026

昔から「季節の変わり目にはめまいがする」「天気が崩れる前には頭痛がする」など、気象の変化によって持病が悪化することもあります。またその中でも、うつや不安といった気分障害にまつわるものもあります。
天候が変わりやすい春や低気圧が続く梅雨、台風の多い秋などに要注意ですね。
春は日々の寒暖差や、低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わる気圧変動が大きい季節です。
寒暖差に対応するため自律神経の一つである交感神経優位が続くと、エネルギー消費が増え、疲れやだるさを感じやすくなります。
自律神経には、体を活動的にする交感神経とリラックスさせる副交感神経があり、2つがバランスをとりながら、心臓や腸、胃、血管などの臓器の働きを司っています。この自律神経、自分の意思ではコントロールできず、ちょっとしたストレスでもバランスが乱れてしまいます。

春は気温の寒暖差とともに、気圧の変動によっても、自律神経のバランスを崩しやすい時季です。気圧が下がったり上がったりすると、耳の奥にある内耳が敏感に感知します。内耳とは、中耳のさらに奥に位置し、三半規管や前庭など体のバランスを保つ気管が集まっている部分です。
内耳が感じ取った気圧低下などの情報は、内耳の前庭神経を通って脳に伝達され、それによって自律神経はストレス反応を引き起こし、交感神経が興奮状態になります。
もともと人間は、ある程度の外部環境ストレスには耐えられるようになっています。そのバランサーとして機能するのが自律神経です。自律神経が正常に機能するためには、暑い場所では汗をかくことが必要です。しかし、空調が完備された環境で暮らしていたり、昼夜逆転するなど生活リズムが乱れたりしていると、自律神経が整いにくくなってしまいます。その結果、気圧の影響についていけない体になってしまうのです。

自律神経の乱れチェックをしてみましょう!

重要なのは天気や季節変化から受ける影響を少しでも減らし、痛みなどで体調を崩してしまう回数を減らすことです。そのため、自律神経を整えて寒暖差や気圧の変動に耐えられる体づくりを心がけましょう。
まずは自分が自律神経が乱れやすいかどうか、チェックしてみましょう。あてはまる項目が多いほど、自律神経が乱れやすい傾向があります。

*乗り物酔いをしやすい
*季節の変わり目に体調を崩しやすい
*暑い季節にのぼせ、寒い季節では冷える
*雨が降る前にめまいや眠気を感じやすい
*最近、体を動かす機会が減っている
*肩こりがある
※新幹線や飛行機に乗ると耳が痛くなる
*偏頭痛持ち
*几帳面な性格
*ストレスを感じやすい

いかがですか?
チェックの数が少なくても自律神経の乱れには注意が必要です。

★予防と対策
①朝食は必ず食べる
1日3食を守ることが大切ですが、特に朝食は、寝ている間に下がってしまった体温を上げ、自律神経を整えるのに大きな役割を果たすので欠かさないようにしましょう。
また、気象病対策にはビタミンB1が有効です。痛みや自律神経のメカニズムとも深く関係している、脳の栄養素・糖質を体内でエネルギーに換えてくれる際に不可欠です。ビタミンB1が多く含まれているのは豚肉、うなぎ、玄米などです。

② ゆっくり長くできる運動をする
自律神経を安定させるために取り入れたい運動は、ウォーキングや軽めのランニング、水泳など、ゆっくり長くできるものです。なかでも水泳は自律神経の働きによい刺激を与えてくれます。体温より低い水の中でゆっくり体を動かすと、体の代謝がじわじわと上がっていきます。クロールや平泳ぎを何キロも泳ぐ必要はありません。水の中をゆっくり歩くだけでも効果があります。
試してみてください。

今回、ご紹介する病気は前立腺癌です。男性はしっかりお読みください。<概要>前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関...
21/02/2026

今回、ご紹介する病気は前立腺癌です。男性はしっかりお読みください。
<概要>
前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関わっています。アメリカでは前立腺がんは、男性に発生するがんの第1位ですが、日本でも近年増加傾向にあり、2020年では1位となることが予想されています。一昔前は、進行がんの状態で見つかることが多かったのですが、最近ではPSA(prostate specific antigen:前立腺特異抗原)という優れた腫瘍マーカーの普及もあり、より早期に発見される様になってきています。
<症状>
初期はほとんどが無症状で、進行すると以下の症状があらわれてきます。
・排尿に関する症状
残尿感、頻尿、尿意切迫感等の症状が起こることがあります。
・局所浸潤症状
尿道に浸潤すれば血尿、排尿困難が生じ、さらに尿管まで浸潤すると、尿管の拡張、腎盂、腎杯が拡張する水腎症、ついには腎不全に至ることも有ります。
・転移がんの症状
腰痛などで骨の検査をうけたことで前立腺がんが発見されることもあります。また胸部レントゲン等で肺転移が偶然発見されることもあります。
<診断>
・PSA
前立腺から分泌されるPSAという物質の血液中の濃度が高いと前立腺がんが疑われます。正常値上限値は4.0ng/mlで、他の臓器にがんがあってもPSAは上昇しません。グレーゾーンと呼ばれる4.1~10.0ng/mlでは20-30%に、10.1ng/ml以上では40%以上にがんがみつかるといわれています。
・直腸診
肛門から指を入れて、前立腺の表面を触る検査です。前立腺に硬い部分があると癌の疑いが高くなります。
・経直腸的超音波検査
肛門から超音波検査プローブを挿入し、前立腺の内部の状態を観察します。
・前立腺針生検
PSA、直腸診、超音波検査などにより、がんの疑いがあれば行います。肛門から超音波検査プローブを挿入し、超音波で確認しながら前立腺に針を刺し、組織を採取します。採取した組織は病理医が顕微鏡で見て、がんの有無を判断します。詳しくは、前立腺針生検の項目もご参照ください。
以下は、前立腺がんの診断がついた方に行われる検査です。
・CT
前立腺がんの診断が針生検で確定した場合に前立腺がんが他の臓器やリンパ節へ転移していないかどうかを評価する為に行います。
・MRI
前立腺がんが前立腺内にとどまっているか、前立腺の外に進展しているかを評価する為に行います。
・骨シンチグラフィー
前立腺がんは骨に転移しやすいので、骨に転移していないかどうかを評価する為に行います。
<治療>
前立腺がんの治療は、腫瘍マーカーのPSA、前立腺組織の悪性度を表すグリソンスコア、がんの広がりを表す病期の3項目に応じたリスク分類にもとづいて決定されます
・手術
がんが前立腺内にとどまっていれば根治的前立腺全摘術を選択することができます。 前立腺を摘出し、膀胱と尿道を吻合する手術ですが、当院では積極的に、腹腔鏡を用いて行う腹腔鏡下前立腺全摘術やロボット支援手術を行っております(後述)。手術後の合併症として、尿失禁や勃起不全があげられますが、がんの場所によっては、勃起神経を温存して手術を行うこともあります。
・放射線治療
体外から照射を行う外部照射と前立腺に放射線の線源を埋め込む密封小線源療法(シード治療)があります。
・外部照射
直線加速器(リニアック)と呼ばれる大型の機械で、体の外から体内の病巣部に放射線を照射します。治療が必要な範囲の形に合わせた正確な照射範囲を定めるために、専用のコンピュータを用いて最適な照射計画を選択します。ほぼ全例で強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiotherapy: IMRT)を導入しています。通常は、1日1回の治療をおよそ2か月かけて行いますが、近年では、1回にあてる放射線の量を少し多くして比較的短期間で照射する方法も一般的になっています。また、1回の放射線の量をさらに多くして、5~7回くらいで治療する定位的放射線治療も病期によって選択することができます。
・密封小線源療法(シード治療)
放射線を放出するヨウ素125線源を前立腺内に挿入し、内部から前立腺全体に放射線をあてる治療法です。麻酔をかけた上で、超音波画像を見ながら会陰部から前立腺内に線源を留置します(図3)。数日間の入院が必要です。リスクが高い症例では、小線源療法に外部照射を組み合わせることがすすめられます。
・内分泌療法
前立腺がんは男性ホルモンにより増殖します。その男性ホルモンの働きを抑える治療法が内分泌療法です。ほとんどの前立腺がんがこの治療によく反応しますが、徐々に効かなくなってくる例もあります。精巣摘除術や、LH-RHアゴニスト剤/アンタゴニスト剤に、抗男性ホルモン剤を組み合わせて体内の男性ホルモンの働きを抑えます。女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤が前立腺がんに有効な場合もあります。近年、男性ホルモン及びその受容体の解明が進み、より強力な抗男性ホルモン剤が開発され、従来の内分泌療法が効かなくなった前立腺がんに使用されています。内分泌療法の副作用として顔が熱くなったり、汗をかいたり、動悸がしたりするといった 「ホットフラッシュ」や性欲減退や勃起障害などが挙げられます。また近年では、内分泌療法によって骨粗鬆症にかかりやすくなるといわれており、この合併症に対しても治療を行っております。
・化学療法
いわゆる『抗がん剤』による治療です。内分泌療法が効かなくなった前立腺がんに対して行われる治療です。ドセタキセルという薬剤を中心に使用します。副作用として脱毛、嘔気、嘔吐、骨髄抑制等があります。骨髄は血液の製造所であり、赤血球が少なくなれば貧血、白血球が少なくなれば易感染性(細菌、ウィルス等に感染しやすくなる)、血小板が少なくなれば易出血性(血が止まりにくくなる)という副作用をきたすことがあります。ドセタキセルが効かなくなったがんに対してカバジタキセルという新薬が認可されたため、当院では積極的に使用しています。
・PSA監視療法
前立腺がんと診断されても非常に早期でさらにがんも穏やかであると判断した場合には、PSA監視療法という方法があります。これは無治療のまま、PSAの結果や定期的針生検によってがんの進行の有無を観察するというものです。PSAの数値や生検で得られた前立腺組織からがんの増悪が疑われる場合は手術・放射線治療・内分泌療法などの他の治療法を検討します。

20/02/2026

足がつる、いわゆる「こむら返り」の経験は誰にでもあると思います。運動時だけでなく、就寝中に突然、足がつることはありませんか?
一般的に、急に体を動かすときに起こりやすい症状ですが、栄養不足や水分不足、冷え、熱中症、急激な寒暖差が原因で起きることがあります。

足がつるのは筋肉痙攣の一種です。筋肉やその周りの筋や腱が許容範囲より伸びてしまうことで起きると考えられています。
筋肉疲労以外で足がつる原因として多いのが、たくさん汗をかいて、多くのミネラルが体外に流れてしまっている場合です。
実は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは、筋肉の動きと深く関係しています。体内のミネラルが不足すると、神経から筋肉の伸縮を命令する信号が乱れて制御がうまくできなくなります。そのため足の筋肉は硬直しやすくなり、痙攣を起こしやすくなるのです。
私たちが1日に必要とするミネラルはどれも少量ですが、運動、食生活の偏り、発汗、脱水症状などちょっとしたことでも、ミネラルバランスには乱れが生じます。足を酷使させたわけでもないのに頻繁につる場合、ミネラルバランスの乱れが関係している可能性があるので、食生活の見直しや水分補給でバランスを整えてあげることも効果的な予防法の一つです。

栄養面からのミネラルバランスの乱れには、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどの過不足が考えられます。どれも筋肉の収縮や神経の伝達機能に関連する大切な栄養素なので、日頃から意識して乳製品や野菜類、豆類、魚介類を摂るなどで、栄養バランスのいい食事で補うことが大切です。

・カルシウム  牛乳やチーズなどの乳製品、小魚や干しエビ、牡蠣などの魚介類など
・マグネシウム 大豆や納豆などの豆類、アーモンドなどのナッツ類など
一般的に、カルシウムとマグネシウムの摂取量の目安は2:1のバランスが良いとされていますので、サプリメントを選ぶ基準に、また、バランスを意識して偏らないようにしましょう。

また、身体を冷やさないようにレッグウォーマーをしたり、足湯などの対策をするのもいいですね。

今回は、泌尿器科の病気ではありますが膀胱がんについて説明します。<概要> 膀胱の内側は尿路上皮という細胞で被われており、この細胞から生じる悪性腫瘍を膀胱がんといいます。膀胱の内側にとどまっているがんは筋層非浸潤性膀胱がんと呼ばれます。尿路上...
27/01/2026

今回は、泌尿器科の病気ではありますが膀胱がんについて説明します。
<概要>
 膀胱の内側は尿路上皮という細胞で被われており、この細胞から生じる悪性腫瘍を膀胱がんといいます。膀胱の内側にとどまっているがんは筋層非浸潤性膀胱がんと呼ばれます。尿路上皮細胞から発生するがんは膀胱の内側から拡がり、膀胱の筋層や周囲の脂肪組織、または隣接した器官、リンパ節まで浸潤することもあります。 これらは浸潤性膀胱がんと呼ばれます。膀胱がんは人口10万人あたり毎年6~8人発生しますが、年々若干増加傾向にあります。50歳以上の方に好発し、男性が女性の2~3倍の頻度で発生します。尿路上皮の遺伝子の変化によりがん化すると考えられています。また喫煙者は非喫煙者に比べて4倍程度発生率が高いことが知られています。特殊な例として、ある種の染料や化学薬品、寄生虫により誘発されることも報告されています。
<症状>
 血尿が膀胱がんの初発症状としては、一番多くみられる症状です。定期健康診断で行う尿の顕微鏡検査で赤血球が検出され、尿に血が混じっていることがわかる場合もありますが、肉眼でわかるほど尿が赤くなることもあります。また頻回の排尿や排尿痛を生じることもありますが、かなり進行するまで症状がないこともあります。膀胱がんが拡がり尿管口(尿管と膀胱の移行部)を塞ぐことで、腎臓でつくられた尿が膀胱に流れてこなくなり、尿管、腎盂が拡張して背部に痛みや違和感を覚えることもあります。これらの症状が一つでもみられた際には医師の診察を勧めます。
<診断>
症状、状況に応じて以下の検査を組み合わせて診断します。
・問診
血尿や排尿症状の有無について調べます。また患者さんの生活習慣や職業、過去の疾患、治療等の病歴についても調べます。
・尿検査
尿の色を確認し、糖、蛋白、赤血球、白血球といった成分を調べる検査です。
・尿細胞診
尿中に異常な細胞があるかどうか顕微鏡下に尿を調べます。
・超音波検査(US)
体表より超音波にて内臓(腎、膀胱)に異常がないかを調べます。この検査は、膀胱に尿を溜めた状態で行います。器具をお腹にあてるだけですので、痛みを伴う検査ではありません。
・コンピューター断層撮影法(CT)
体内の詳細な像を連続的に撮影し、体の断面像を得ます。像はX線撮影装置と連動したコンピューターにより作られます。造影剤を静脈内に注入すると、臓器や組織がよりはっきり示され、他の臓器への転移の有無も診断することができます。
・膀胱鏡検査
膀胱内の病変の有無を確認するために、膀胱鏡を尿道より挿入して直接膀胱内を観察します。膀胱鏡は細くライトの付いたチューブのような器具で観察できるカメラも付いています。軟性膀胱鏡は従来の硬性膀胱鏡と比べ柔らかく細いため、検査中の疼痛、検査後の血尿が少ないなど患者さんから好評をいただいております。
・核磁気共鳴イメージング(MRI)
磁石、電波、コンピューターを用いて体内の詳細な像を連続的に撮影します。術前に膀胱腫瘍の浸潤の程度を診断するのに役立てています。当院では MR urographyというより精度の高い検査を実施しています。膀胱がんの場合、同じ尿路上皮で被われている腎盂、尿管にも同様のがんが同時に見つかることがありますので、造影剤を使用したCT検査において尿路に造影剤が排泄されるタイミングで撮影することにより腎盂・尿管の病変の有無をチェックする必要があります。
・経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT):確定診断を兼ねて
膀胱内にできる腫瘍の9割以上はがん(悪性腫瘍)です。膀胱内に腫瘍がみられる場合には入院の上、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)という手術を行います。麻酔下に膀胱鏡を尿道から膀胱内に挿入し、先端に小さな輪のついた器具で腫瘍を切除します。この手術は治療手段であると同時に、確定診断・腫瘍の根の深さを確認する意味でも重要です。
切除した腫瘍を顕微鏡で調べ、組織構築(がんの種類)、異型度(がん細胞の顔つき、悪性度)、深達度(根の深さ)が判明します。組織構築から尿路上皮がん(このがんが大部分)、扁平上皮がん、腺がんなどに分類されます。異型度(grading)はlow gradeとhigh gradeの2段階もしくは、G1からG3までの3段階で評価され、high gradeないしG3が最も細胞異型が強く、いわゆる悪性度が高い所見です。深達度はTa(腫瘍が粘膜にとどまっているもの)、T1(粘膜の下の層、粘膜固有層に達しているもの)、T2(筋層に及んでいるもの)、T3(膀胱の周囲の脂肪にまで及んでいるもの)、T4(隣の臓器に腫瘍が及んでいるもの)に分けられます。Ta、T1を筋層非浸潤性膀胱がん、T2以上を浸潤性膀胱がんと二つに分けることができます。
<治療>
①膀胱がんが他の臓器に転移している場合には手術での完全な治癒は不可能です。膀胱がんはリンパ節、肺、肝、骨などに転移します。他の臓器に転移したがんは、化学療法で治療します。化学療法では複数の薬を組み合わせて用いる多剤併用療法が行われます。治療中の副作用として、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎などがおきます。近年、パクリタキセルやジェムシタビンといった抗がん剤を含む治療メニューを用いることにより、従来の抗がん剤の組合せより副作用を抑えつつ転移巣の治療が行えるようになってきております。進行が遅い筋層非浸潤性膀胱がんの場合は、膀胱がんで死亡するリスクは5%未満ですが、がんが筋肉に浸潤した場合の5年生存率はやや悪く、死亡のリスクは20~40%になるとされています。このような場合、化学療法で生存率が上がることもあります。がんが筋層を越えて広がっている場合、5年生存率は25~60%です。また、がんがリンパ節やその他の部位に転移している場合、5年生存率は20~45%です。ただしこれらの数値はたくさんの患者さんの平均的な統計値ですので、あくまで参考程度になるもので、個々の患者さんにあてはまるものではありません。筋層非浸潤性膀胱がん(Ta又はT1)の場合はTUR-BTでがんを完全に取り除くことができます。しかし、術後新たにがんが発生することが比較的よくあり、まれに再発時に病期進展(腫瘍がより深くに浸潤してしまうこと)をおこすこともあります。TUR-BTでがんを完全に取り除いた後で、化学療法薬またはBCG(体の免疫系を活性化させる物質)を繰り返し膀胱に注入することにより、再発率を減少させることができます。膀胱内注入療法は週1回6~8週続けて行われます。再発のリスクが高い場合はその後も維持療法として3~6ヶ月毎に3週程度BCG注入を行うこともあります。またBCG注入は膀胱上皮内がん(CIS)という特殊な病態の治療にも有効であることが知られています。膀胱上皮内がん(CIS)とは膀胱の表面をはうように発育するタイプで隆起した病変は生じませんが、がん細胞の悪性度は高いがんです。他臓器の上皮内がんと異なり、膀胱の上皮内がんは放置すると早期に浸潤がんとなり転移することがあります。筋層非浸潤性膀胱がん(Ta又はT1)の場合はTUR-BTでがんを完全に取り除くことができます。しかし、術後新たにがんが発生することが比較的よくあり、まれに再発時に病期進展(腫瘍がより深くに浸潤してしまうこと)をおこすこともあります。TUR-BTでがんを完全に取り除いた後で、化学療法薬またはBCG(体の免疫系を活性化させる物質)を繰り返し膀胱に注入することにより、再発率を減少させることができます。膀胱内注入療法は週1回6~8週続けて行われます。再発のリスクが高い場合はその後も維持療法として3~6ヶ月毎に3週程度BCG注入を行うこともあります。またBCG注入は膀胱上皮内がん(CIS)という特殊な病態の治療にも有効であることが知られています。膀胱上皮内がん(CIS)とは膀胱の表面をはうように発育するタイプで隆起した病変は生じませんが、がん細胞の悪性度は高いがんです。他臓器の上皮内がんと異なり、膀胱の上皮内がんは放置すると早期に浸潤がんとなり転移することがあります。
②筋層まで広がったがんは、TUR-BTで完全に取り除くことはできません。この場合には、膀胱および骨盤内のリンパ節を取り除く根治的膀胱全摘術を行う必要があります。この手術は筋層非浸潤性膀胱がんでも再発を頻回に繰り返す場合や、膀胱上皮内がん(CIS)でBCGの治療が効果を示さないものにも行われます。男性では、前立腺と精嚢も摘出し、女性では、場合により子宮、卵巣および腟の一部が摘出されます。男性では術後に勃起障害になりますが、術式によってはそれをある程度防ぐことは可能です。ただし、前立腺、精嚢をとってしまうため射精はできなくなります。また、がんを完全に摘出することができない場合でも、がんにより生じる激しい血尿や痛み等の泌尿器系症状を緩和するために膀胱のみを摘出する手術が行われることもあります。手術の効果を向上させるため、手術前後に化学療法を併用することもあります。
③膀胱を取り除く場合は、尿を排出する手段(尿路変向)が必要です。回腸導管という方法では、腸管で形成された回腸ループという通路を経て、腹壁に設けた開口部から尿を排出させる方法を取ります。この方法は古くから行われているオーソドックスな方法で標準的な尿路変向術です。尿は開口部より絶えず流出するため、体の外に集尿袋を装着する必要があります。尿管皮膚瘻という方法では、腎臓と膀胱の間の尿の通り道である尿管を、直接皮膚に開口させます。腸管を切って利用するという操作がないため、腸管合併症を含めた体への負担は少なくなります。しかし、尿管だけでは腹壁を貫く部分で外から圧排されやすく、尿の通過性を維持するために尿管ステントという管を留置し定期的に交換する必要が生じる場合があります。体の外に集尿袋を装着する必要がある点は回腸導管と同様です。その他、自排尿型代用膀胱形成術もあります。こちらは尿をためる膀胱の代わりになる袋(パウチ)を腸管(主に回腸)でつくり、そのパウチを尿管と尿道につなぎます。この術式の場合、尿道を残すことになるため、尿道にがんが再発する危険性が高い場合は行いません。患者さんは、骨盤の筋肉をゆるめて腹圧をかけることによって排尿するやり方を練習します。この方法をマスターすれば、通常とほぼ同等な排尿が可能となります。日中は尿を漏らすことはほとんどありませんが、夜間は失禁が起こることもあります。これらの術式のうちどの方法を選択するかは、がんの状態、患者さんの体力や希望によって十分検討する必要があります。
④患者さんの希望、年齢および全身状態によっては、放射線療法や、放射線療法と化学療法を組み合わせた治療法も選択肢としてあります。放射線治療はがんを治療するため、またはがんにより生じる症状を和らげるために行われます。副作用を抑え、効果を最大限発揮するために、少量の放射線を2ヶ月程毎日照射する方法が一般的です。放射線の副作用で膀胱萎縮や出血、直腸出血、皮膚のただれなどが生じることがあります。
⑤膀胱がんが他の臓器に転移している場合には手術での完全な治癒は不可能です。膀胱がんはリンパ節、肺、肝、骨などに転移します。他の臓器に転移したがんは、化学療法で治療します。化学療法では複数の薬を組み合わせて用いる多剤併用療法が行われます。治療中の副作用として、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎などがおきます。近年、パクリタキセルやジェムシタビンといった抗がん剤を含む治療メニューを用いることにより、従来の抗がん剤の組合せより副作用を抑えつつ転移巣の治療が行えるようになってきております。進行が遅い筋層非浸潤性膀胱がんの場合は、膀胱がんで死亡するリスクは5%未満ですが、がんが筋肉に浸潤した場合の5年生存率はやや悪く、死亡のリスクは20~40%になるとされています。このような場合、化学療法で生存率が上がることもあります。がんが筋層を越えて広がっている場合、5年生存率は25~60%です。また、がんがリンパ節やその他の部位に転移している場合、5年生存率は20~45%です。ただしこれらの数値はたくさんの患者さんの平均的な統計値ですので、あくまで参考程度になるもので、個々の患者さんにあてはまるものではありません。

16/01/2026

ウイルスが原因でおこる感染性胃腸炎は、1年を通して発生しますが、特に寒い冬に流行します。原因となるウイルスはノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどです。
一般的には冬季の前半にはノロウイルスによる胃腸炎が多く後半から春にかけてはロタウイルスによる胃腸炎が多くなります。
ロタウイルスやアデノウイルスは乳幼児に好発しますが、ノロウイルスは成人も含め全年齢にみられます。特に抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。

*予防方法*

ウイルス性のものに対しては流行期の手洗いと患者との濃厚な接触を避けることが感染予防のポイントです。
1. 最も有効な対策は手洗いです。トイレを使用した後、調理の前、食事の前には必ず手を洗いましょう。石けんと流水で30秒以上かけて良く手を洗いましょう。手拭は、共用タオルの使用はさけペーパータオルなどを使用します。
2. 部屋やトイレで吐いた場合は、部屋の換気を十分に行いながら、吐物をふき取り、ふき取ったあとを塩素系消毒剤で消毒します。下痢や吐物を処理するときは素手でさわらず使い捨てビニール手袋と使い捨てマスクなどを使用しましょう。
3. 汚れた下着や床などは次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)などの塩素系消毒薬を使用して消毒します。
4. 食品を介した感染を防止するためには、手洗いを充分に行うこと、食品を十分に加熱することが効果的です。他にも手指や調理器具などの洗浄・消毒を厳守し、生野菜などは十分に水洗いしましょう 

*胃腸炎になった時の食事アドバイス*
① 水分補給
症状がひどく食べ物を受け付けないときにも、脱水症状を避けるために水分補給を行いましょう。
一度に大量に飲ませるのではなく、小まめに補給するようにします。
ただし、飲んでもすぐに吐いてしまうときは飲ませない方が良い場合もありますので、医師の指示に従ってください。
下痢・嘔吐や高熱による大量の発汗があると、水分と共にナトリウムやカリウムなどの電解質も失っている為、水だけではなく電解質も補給する必要があります。
水分補給には、電解質と糖質がバランスよく配合され体に吸収されやすくなっているOS-1(大塚製薬)などの経口補水液がお勧めです。薬局やドラッグストアでも購入することができます。
補給する量の目安としてOS-1のウェブサイトには下記のように記載がありますが、摂取の可否や量の調節は医師の指示を仰ぎましょう。

② 消化の良い食品や調理方法を選びましょう
うどんは、あまり噛まずに飲み込んでしまいがちなので、お粥の方が消化にいいですよ。

③ 胃酸の分泌を高める食品は控えましょう
・香辛料の多いもの(こしょう、唐辛子など)
・甘みの強いもの(煮豆、まんじゅうなど)
・食塩の多いもの(漬物、塩辛など)
・酸味の強いもの(酢の物、かんきつ類など)
・嗜好飲料(アルコール飲料、炭酸飲料、コーヒー、濃い緑茶など)
紅茶は殺菌作用があるのでお勧めです
お砂糖を入れて甘くして飲むと飲みやすくエネルギー補給になります

④ 食事はゆっくりよく噛んで食べ、
冷たいものは一気に飲まないようにしましょう

⑤食後はすぐに動かず休息をとりましょう
そうする事で、消化が良くなります

参考にしてみてください。

今回は悪性腫瘍の疾患でも稀である腎癌についてご説明します<概要> 腎がん(腎臓のがん)は成人のがんの約2~3%を占め、男性が腎がんになる割合は女性の2倍です。また、喫煙者ではこのがんの発生率が非喫煙者の約2倍となります。危険因子(病気をおこ...
20/12/2025

今回は悪性腫瘍の疾患でも稀である腎癌についてご説明します
<概要>
 腎がん(腎臓のがん)は成人のがんの約2~3%を占め、男性が腎がんになる割合は女性の2倍です。また、喫煙者ではこのがんの発生率が非喫煙者の約2倍となります。危険因子(病気をおこす要因)としてはこのほか、毒性の化学物質にさらされることや肥満があります。原因は不明ですが1975~95年にかけて、腎がんの発生率に毎年2~4%の上昇がみられました。多くの人は50~70歳で発症します。腎臓の腫瘍のうち、中に細胞が詰まったもの(充実性の腫瘍)は大半が悪性腫瘍(がん)であるのに対し、液体が詰まった腫瘍は嚢胞(のうほう)と呼ばれ、良性(非がん性)腫瘍であることが多いです。腎がんのほとんどは腎細胞がんです。腎盂がんとは異なるので注意してください。
<症状>
 腎がんの初期症状は余りありません。そのため、早期発見が難しい種類のがんでしたが、現在では人間ドックの超音波検査などを受ければ早期発見が可能です。腫瘍の大きさが7cm以上となると症状が出ることがあります。腎がんは、小径のうちは腎実質といい尿路(腎盂、腎杯)から離れたところに発生しますが、大きくなると尿路に露出してくることがあり、その際に血尿となります。尿中の血液がごく微量で顕微鏡検査でしかわからないこともあれば、肉眼でわかるほど尿が赤くなることもあります。わき腹の痛み、発熱、体重の減少です。医師が腹部の腫れや腫瘤(しゅりゅう)の触診で腎がんを発見したり、高血圧など別の病気の診察時にがんを偶然見つけることがあります。腎臓の病変部や腫瘍自体によって産生されるエリスロポエチンというホルモンが骨髄を刺激して赤血球の生成量を増加させるため、赤血球数が異常に増えてしまうことがあります。血液中のカルシウム濃度が上昇する場合もあります(高カルシウム血症)。また、発熱の原因を調べることによって腎がんが発見されることもあります。
<診断>
 腎がんの疑いがある場合には、超音波検査、またはCT検査を行って診断します。造影超音波という特殊な検査を行う場合もあります。MRI検査では、下大静脈など隣接する組織にがんが広がっているかどうかがわかります。腫瘍の大きさ、血管に入りこんでいるか、リンパ節や他の臓器(肺、肝臓、骨など)に転移していないかを調べます。さらには手術を行うときのために、腎臓の血管の数や走行が重要ですので、3D-CT検査という精密検査を追加することがあります。
<治療>
・腎がんが転移していない場合
 がんが腎臓の外に転移していなければ、腎臓を手術で取り除くことで、治る見込みは十分にあります。腫瘍が小さい場合(4cm未満)には、腫瘍部分と隣接する正常組織だけを取り除き、腎臓の残りの部分は残す(腎部分切除術)こともあります。ただし、腫瘍の位置によっては部分切除ができないこともあります。腫瘍が4cmを超えると腎臓全体を取り除かなければならない(根治的腎摘除術)場合もあります。また手術の方法としては、近年、腹腔鏡手術が急速に発達し、従来の開腹手術と比較して、安全性および手術後の見通しについても遜色ないとされています。治療法の選択については、腫瘍の特徴や患者さんの体力などを考慮して、担当医とよくご相談してください。がんが腎静脈や心臓に血液を運ぶ太い大静脈に広がっていても、腎臓から離れた部位には広がっていない場合、手術で治る見込みはあります。がんが腎臓内に限局している場合は、疾患特異的(がん以外の要因での死亡を除いたもの)5年生存率は85%以上ですが、がんが腎静脈や大静脈に浸潤していたり、遠隔転移をきたしたりしている場合にはさらに下がります。分子標的治療薬(後述)を使用することが可能となった現在、さらなる生存率の向上も期待されています。
・腎がんが転移している場合
 腎がんが離れた部位に転移する遠隔転移は、肺にみつかることが多いです。腎がんの診断時に見つかるとは限らず、発見された腎がんをすべて外科手術で取り除いた数年後に転移が明らかになることもあります。腎がんは抗がん剤・放射線が効きにくく、転移を伴う腎がんの治療成績は依然大きな改善がみられません。以前、最も効果があるとされていたサイトカイン療法(インターフェロン・インターロイキン2)で、15~20%程度の有効率といわれています。2008年になって分子標的治療薬(分子標的薬)が認可され、治療は大きな変革をむかえました。分子標的治療薬は、腫瘍細胞の増殖や血管内皮細胞の増殖にかかわる細胞内シグナル伝達を阻害することによって腫瘍の増殖を抑える薬です。マルチキナーゼ阻害剤であるSunitinib (商品名:スーテント®), Sorafenib (商品名:ネクサバール®)が2008年に認可されました。2012年にはAxitinib(商品名:インライタ®)も2剤目以降に使用できる薬剤として、2014年にはPazopanib(商品名:ヴォトリエント®)が新たに認可されました。また細胞内シグナル伝達の経路の一つに、mTORという酵素が細胞増殖、代謝、血管新生などの制御に関わっています。2010年には、mTORを阻害する作用のある薬剤である内服薬Everolimus(商品名:アフィニトール®)、点滴薬Temsirolimus(商品名:トーリセル®)が認可されました。これらはmTORを選択的に阻害することにより、がん細胞の増殖を抑制します。新たな分子標的治療薬の登場により、進行性腎細胞がん治療における選択肢はさらに広がりました。分子標的治療薬は腫瘍の増殖因子を阻害する作用のある薬です。がん細胞を殺す作用も有しますが、主にがんを栄養する血管に作用して抗がん作用を発揮します。「抗がん剤ではないので副作用が少ない薬」というのは間違った認識です。高血圧・疲労・下痢・皮膚炎が副作用として生じる可能性があります。特に高血圧は比較的高頻度で出現します。副作用として手足の皮膚反応があり、痛みを伴い場合によっては歩行困難を来たす場合もあります。

住所

小松北町1丁目1-27 1F
Nishinomiya-shi, Hyogo
663-8126

営業時間

月曜日 09:00 - 12:00
16:00 - 19:00
火曜日 09:00 - 12:00
水曜日 09:00 - 12:00
14:00 - 19:00
木曜日 09:00 - 12:00
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