12/05/2026
健康診断の数字だけでは見えないもの
こんにちは。
日本初の「心臓を中心とした循環器検査に特化した専門機関」
心臓画像クリニック飯田橋(CVIC)理事長の寺島です。
健康診断の数字は大切です。
これまでの心臓病予防では、健康診断の結果や生活習慣などからリスク因子を評価し、
治療方針を考えてきました。
たとえば、
「コレステロール値が高い」
「血圧が高い」
「糖尿病がある」
「喫煙している」
こうした要素を組み合わせて、
「将来、心筋梗塞を起こす可能性がどれくらいあるか」を統計的に推測する。
そのうえで、薬を飲むかどうかを判断してきました。
いわば、これまでの医療は、
水道管の中を流れる水の汚れ具合を見て、管そのものの状態を推測していたようなものです。
血液検査のデータは、たしかに大切です。
しかし、水が汚れていても、管そのものはまだきれいな人もいます。
反対に、水はきれいに見えても、管の壁がすでに傷んでいる人もいます。
ここに、従来の診断の限界がありました。
そうした中で、2026年3月、
アメリカの主要な循環器系学会が脂質異常症に関する新しいガイドラインを発表しました。
中心となったのは、ACCとAHA。
ACCはアメリカ心臓病学会、AHAはアメリカ心臓協会です。
この新しいガイドラインの中であらためて注目されているのが、冠動脈石灰化スコアです。
冠動脈石灰化スコアは、CT検査によって、
心臓の血管にどれくらい石灰化が起きているかを数値化する検査です。
簡単に言えば、血管にこびりついた“サビ”の量を見るようなもの。
先ほどの水道管の例で言えば、
水の状態だけで判断するのではなく、管の壁そのものを確認するというアプローチです。
たとえ血液検査のデータが正常範囲内であっても、
冠動脈石灰化スコアが高ければ、将来のリスクをより重く見る必要があります。
逆に、リスク因子があっても石灰化がほとんどなければ、
治療の進め方を慎重に考えられる可能性があります。
つまり、冠動脈石灰化スコアは、
「危ないかもしれない」という推測を、より確かな判断に近づけるための検査だと言えます。
「統計と予測」から「事実と可視化」へ
これまでは、症状がない人にCT検査を行うことには、慎重な意見もありました。
しかし今回のガイドラインでは、画像で血管の状態を確認し、
その結果を治療方針に活かすという考え方が、より明確に示されました。
CVICが提供してきた心臓ドックや高度な画像診断は、まさにこの流れの中にあります。
目に見えないリスクにただ不安を抱くのではなく、
目に見える血管の状態に合わせて、賢く対策していく。
今回のガイドライン改訂は、
心臓病予防がそうした時代へ進み始めていることを示しているのだと思います。