01/09/2026
「中性脂肪」という言葉をよく耳にすると思います。
中性脂肪は、人間が活動するためのエネルギー源になるのですが、使われずに余ったぶんは、内臓脂肪として蓄えられます。内臓脂肪は溜まりすぎると弊害をもたらします。
内臓脂肪が溜まりすぎると、アディポネクチンというたんぱく質が分泌されにくくなります。アディポネクチンが分泌されないと動脈硬化や糖尿病を起こしやすくなります。
「アディポ」は、脂肪細胞のことで、 「ネクチン」は、いろいろなものにくっつきやすいたんぱく質に共通する接尾語です。
アディポネクチンは、ヒトの脂肪組織から分泌される特異的たんぱく質です。アディポネクチンの血中濃度は内臓脂肪の蓄積で低下し、逆に内臓脂肪の減少によって増加します。
アディポネクチンの働きは、次のとおりです。
①アディポネクチンが動脈壁の種々の細胞に作用して動脈硬化を防ぐ作用がある。
②筋肉などの細胞の表面にあるインスリン受容体に作用してインスリン感受性を増強する作用がある。
インスリンは「鍵」で、インスリン受容体は「鍵穴」です。これにより、血糖値が下がります。
③血管内皮細胞に作用して炎症を防ぐ作用がある。
近年、善玉ホルモンとして注目されてきたアディポネクチンですが、生体に有益な研究結果ばかりではないようです。
高血圧患者1228人を3年間追跡し調べた研究によると、血中アディポネクチン濃度が高い患者グループでは脳卒中や心不全などの発症リスクと関連していることがわかりました。血中アディポネクチンの濃度を高めることは病気の予防に有益であると考えられていたので予想外の結果です。患者の病態によっては、必ずしも有益ではなく、むしろ重大な病気の発症リスクと関連していたのです。
しかしながら、この研究結果だけで直ちにアディポネクチンが生活習慣病の予防に有益でないという結論にはならないと思います。
アディポネクチンの血中濃度を適度に維持するためには、内臓脂肪を増やさない食習慣と適度な運動が大切です。